ビクトリア<聖週間のレスポンソリウム集>



復活祭を前に、きょうは<聖金曜日>にあたる。極東の片田舎に住む宗教的バックボーン皆無なボンクラ与太にはよく分からないところではあるが、キリスト教においてもっとも重要な時期でありイヴェントでもある。敬虔な祈りをサポートするかのように、古来<聖金曜日>のための音楽も多く作られた。
先日知人から、「与太さんの悪行は、帯状疱疹とインフルエンザくらいじゃ償えないだろう。これでも聴いて、自省せよ」と、こんな盤を借り受けた。


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スペインルネサンス期のもっとも偉大な作曲家の一人であるトマス・ルイス・デ・ビクトリア(1548-1611)による<聖週間のためのレスポンソリウム>。ピーター・フィリップス指揮タリス・スコラーズによる歌唱。1990年録音。 「聖週間のためのレスポンソリウム」は、聖週間のための聖務曲集に含まれるもので、復活祭の前、キリストの受難をしのぶ週に教会の礼拝で歌わる。聖金曜日がいわゆる「受難の日」で、「死」「受難」というテーマを扱う。本盤の収録曲は以下の通り。

聖木曜日の為のレスポンソリウム
 ・わが友は
 ・悪の商人ユダは
 ・わが弟子の一人が
 ・われは罪なき羊のごとく
 ・一時間われとともに
 ・人々の長老らは

聖金曜日の為のレスポンソリウム
 ・汝らは強盗に向かうがごとく
 ・暗闇となりぬ
 ・われ、わが愛する生命を
 ・彼らはわれを悪人の手に引き渡し
 ・不信心なる者、イエスを引き渡しぬ
 ・わが目は涙にくれぬ

聖土曜日の為のレスポンソリウム
 ・われらが牧者は去りたまいぬ
 ・おお、道ゆくすべての者よ
 ・見よ、いかに正しき者死すとも
 ・地上の王らは立ち上がり
 ・われは墓穴に下りし者のうちに
 ・主が葬られたまいし後

ルネサンス期の音楽は高校時代(70年代初頭)に、NHKFM朝の皆川達夫氏の名調子による「バロック音楽の楽しみ」でいくらか親しんだ。当時の興味はもっぱら器楽曲、ギターやリュートによる演奏であったが、宗教曲、世俗歌曲に関しても、作曲者名や作品名を気に留めることもなく、ただ16世紀の独自の響きを楽しんでいた記憶がある。おそらく当時聴いた曲の中に、ビクトリアの宗教曲も混じっていたものと思う。
久しぶりに聴くこの時代の宗教曲。清廉な響きは天上で調和し、敬虔で神秘的な光景を想像させる。平均律楽器では得られない和声の調和は、どこまでも透明で、不協和音ですら濁りなく、本来の不協のみを響かせ、不気味な不安さを提示する。


この曲の音源。米テキサス大学のコーラスとのこと。



実は知人の参加する合唱団が来月のコンサートでこの曲と取り上げる。ご都合付く方はぜひどうぞ。
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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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