グールド晩年のハイドン



花曇りで少々冷え込む土曜日。野暮用ついでに立ち寄った市内の公園は桜満開。曇り空の下でみる桜は陰りを帯び、幾ばくかの暗さと憂うつを感じさせる。 帰宅後、夜半過ぎになって、グールドの例の80枚ボックスセットからハイドンの後期ピアノソナタを収めた盤を取り出した。グールドにとっては晩年の1982年の録音で、第56・58・59・60・61・62番のソナタがCD2枚に収録されている。


Gould_Haydn_2.jpg  Gould_Haydn_1.jpg


ハイドンといえば、古典的で均整の取れた清廉なイメージを持つが、グールドのこの盤を聴くと番号によって随分と印象が違う。第58番のAndante con espressioneや他の番号の緩除楽章など、これはほとんどロマン派の音楽ではないかと耳を疑うほどの深さだ。テンポは遅く、一音一音に意味がこもる。ゆっくりとしたテンポにより、ノンペダルの音と音の間に空間が作られる。その空間にこちら側のインスピレーションが吸い込まれかのようだ。他方、速い楽章ではもたれず、明快なアーティキュレーションと粒揃いの音で、テンポの緩急に関わらず、一つ一つの音が高い技巧によってコントロールされ、深い譜読と相まって、別世界のハイドンを聴かせてくれる。グールドが晩年に古典的均整の取れたハイドンを取り上げ、このような演奏をする意味が何となく分かるような気がする。


この盤の音源。第61番(ホーボーケン番号51番)ニ長調。


第56番(ホーボーケン番号42番)ニ長調第1楽章。


第59番(ホーボーケン番号49番)変ホ長調第2楽章。音質劣化が著しい。オリジナルの録音はずっと良好。



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ハイドンの名演ですね

こんにちは。
グールドはハイドンのピアノ・ソナタ全曲録音の希望を持っていたそうですが、
その死によって、実現したのはこの2枚のみでした。
グールドにしかできない個性的で美しい演奏だけに惜しまれます。

No title

グールドはハイドンも素晴らしいですね
私はグールドの演奏でハイドンのピアノ・ソナタの良さを教えてもらいました。
特に変ホ長調Hov.XVI:49 俗に49番と呼ばれているものが最高に素晴らしいと思っています。

Re: ハイドンの名演ですね

木曽のあばら屋さん、こんばんは。コメントありがとうございます。
幾多の名演を残してくれたグールドですが、あと少しでも存命であれば…と何度思ったことでしょう。一連のハイドンは、彼のモーツァルトをも凌ぐ素晴らしい演奏ですよね。二枚のアルバムではありますが、貴重な遺産でしょう。

Re: No title

パスピエさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私もグールドの演奏でハイドンのピアノソナタに開眼したクチです。いずれもロマンティシズムと古典的様式が高い次元で融合した名演奏だと思います。変ホ長調の49番は、曲の良さもあって、グールドのピアノがひときわ冴えわたりますね。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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