グールドの<イタリア協奏曲>



さて今週もいつものように始まった。少々業務ひっ迫でそこそこ慌しい。今よりも体力が三割増し、知力が五割増しくらいにならないか知らん…とスットコドッコイなこと考えつつ、今週二日目の火曜日が終了。帰宅後ひと息ついて二日ぶりにアンプの灯を入れ、この盤を取り出した。


gould_italian_concerto_1.jpg  gould_italian_concerto_2.jpg


例のグールドのボックスセットから、バッハのイタリア協奏曲とパルティータ第1番・第2番が入っている盤。
グールドの演奏の中でも、このイタリア協奏曲は好きなものの一つだ。グールドもこの曲には思い入れがあったようで、この盤の1959年録音から二十年余たった1981年に再録している。第1楽章の出だしから、決然とし曖昧さのない曲の運び。ノンレガートの正確なタッチと切れのいい音色で音楽は格調高く進む。

十年ほど前、仕事の関係で出張の多い時期があったが、出張先までの移動の車中、小さなメモリプレイヤーに入れたグールドの弾くパルティータや平均律、そしてこのイタリア協奏曲を何度聴いたことか。今でもグールドのバッハを聴くと当時の慌しく出張を繰り返していた頃を思い出す。
グールドの、特にバッハを聴くとき感じるのはこんな光景だ。…バッハの書いた寄木細工の小さな木片のような一つ一つの音符が空間にパッと撒き放たれ、それがハラハラを落ちてきながら空間で再び寄り集まって寄木模様が出来上がる、そして床に静かに落ちて見事な文様が出来上がる。そしてそこには床に再現された完全無比の寄木文様と、それらに対峙するグールドひとりの姿だけが見えてくる…。そんな光景をイメージするのだ。きのうのオルガン協奏曲の記事にも書いた通り、バッハのイタリア音楽への傾倒の表れでもあって、特に第1楽章はヘ長調の明るい響きと明快な曲想で、いつ聴いても心沸き立つ。


再録1981年の音源。全楽章


グールド27歳のときのドキュメンタリー<Glenn Gould On The Record>。NYコロンビアスタジオでの録音風景。イタリア協奏曲のテイクを重ねる(4分あたりから)。


サクソフォーンのアンサンブルによる演奏。



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No title

こんにちは。
グールドの「イタリア協奏曲」は素晴らしい演奏ですね(1959のほう)。
最初のフレーズから明るく輝かしい響きとキレのあるフレージングで
すっかりもっていかれます。
テンポもこれしかないって感じ。
さんざん聴いて刷り込まれてしまったのかもしれませんが、
他のピアニストの演奏を聴いてもどこか物足りなく感じてしまうのは幸なのか不幸なのか。

Re: No title

まったくその通りですね。
私自身も、テンポ、音のキレ、フレージング、何もかもがこの演奏(1959年盤)がリファレンスになっています。多くの演奏家がそのキャリアの中で再録音を試みますが、「多くの場合、最初の録音がもっともよい」と、ある老舗レコード店の主が言っていました。グールドのこの曲についても、やはり59年盤ですね。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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