デジタルアンプ オンキヨー A-1VL
十年ほど前までぼくの部屋はガラクタがあふれていた。オーディオ装置もその元凶の一つで、何とか必要なものだけにして片付けたい、小型でデザインセンスのよいセットに取り替えたい、そう思いながら適当なものが見つからずにいた。そんなときオーディオメーカーのオンキヨーからデザイン性に優れたアンプ;A-1VLとCDプレイヤー;C-1VLのセットが発売された。発売から数年たち、もう生産完了かあるいは次のモデルが出るかと噂されるようになった2009年春になってようやくこのセットを購入することにした。

このセット、ご覧のように操作面はこれ以上ないくらいシンプルで、アンプにいたっては電源スイッチ、入力切替スイッチとボリュームがあるだけだ。本体の寸法も特に高さは8cmほどしかなく、見た目のイメージも薄型でスッキリしている。ややこしいメカのイメージを感じさせないデザインは、気の利いた調度品が置かれるような部屋にセットしても違和感がないだろう。筐体は厚いアルミ材を多用していて、堅固で質感も高い。
肝心の音は世の評判通り、すこぶる元気がいい。いささか乱暴な表現で誤解されそうだが、音盤に詰まっている音を細大もらさず拾い上げ、勢いよくリスナーに放り投げてくる感じだ。チェロやヴァイオリンのボーイングは、よく例えにあるように松脂の飛び散る音が聴こえそうだし、管弦楽の迫力も圧倒的だ。帯域バランスが高音よりとか低音よりということではなく、ともかく一つ一つの音を分離して、スピーカーを力強くドライブする。この辺りの特徴をアナログ回路のアンプで実現しようとすると、トランスや放熱板などにかなり物量投入してコストをかける必要がある。アンプ、特にパワー段のデジタル化の恩恵でこのアンプのようなコンパクトながら鮮度の高い音を実現している。実際こんなコンパクトなデジタルアンプも、その音質の良さで評判を呼んでいる。
いまぼくが使っている三菱のスピーカー;2S-305の能率は96dBと高いので小さな出力、少々非力なアンプでも十分鳴る。このスピーカーをA-1VLでドライブするとアンプ側の力がいささか過剰で持て余し気味になる。元々音離れがよく反応のよい2S-305が更にドライブされ、いささか暴れ馬になりかねない勢いだ。このアンプが本領を発揮するのは、もっと能率が低く反応の鈍い鳴らしにくいスピーカーの場合だろう。いま主流の現代風の小型で能率が低いブックシェルフ型スピーカーと組み合わせると、大体は眠たい音のそうしたスピーカーも目を覚ましてくれそうだし、デザイン的にもすっきりとしたセットが実現できる。
そんなわけで、いまオンキヨーのこのセットは2S-305とペアを組ませる相手には少々アンマッチということで取り外している。もしこの2S-305を使うのをやめ、小型スピーカーに換える際には、A-1VLの出番となる予定だ。
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