ワレフスカ(Vc)のハイドン:チェロ協奏曲第1番ハ長調



好天の週末で初夏の陽気。やたらと唇が乾き、ときどき薄い皮が切れるほど。のどの渇きとは別で、単純に湿度が低いことが原因。冬場の乾燥同様、五月のこの時期の乾燥も楽器には要注意だ。実際ぼく自身、手持ちのギターでこの時期、ハカランダ材の横板に小さなクラックが入った経験が二度ある。
さて、あすは仕事という日曜の晩。先日のワレフスカの記事で思い出し、この盤を取り出した。


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ワレフスカがメジャーデヴューし、フィリップスに入れた一連の初期録音を集めたタワーレコードの企画盤。収録曲は以下の通り。

<CD1>
(1) ブロッホ:ヘブライ狂詩曲「シェロモ」
(2) ブルッフ:コル・ニドライ 作品47
(3)-(5) シューマン:チェロ協奏曲 イ短調 作品129
(6) チャイコフスキー:ロココの主題による変奏曲 作品33
<CD2>
(1)-(3) ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
(4)-(6) ハイドン:チェロ協奏曲第1番 Hob.VIIb-1
<CD3>
(1)-(3) プロコフィエフ:チェロ協奏曲第1番 ホ短調 作品58
(4)-(6) ハチャトゥリアン:チェロ協奏曲 (1946)
<CD4>
(1) サン=サーンス:チェロ協奏曲第1番 イ短調 作品33
(2)-(3) サン=サーンス:チェロ協奏曲第2番 ニ短調 作品119
(4)-(8) サン=サーンス:チェロと管弦楽のための組曲 作品16
(9) サン=サーンス:アレグロ・アパッショナート 作品43
<CD5>
(1)-(3) ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲 ト長調 RV414 P.118
(4)-(6) ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲 イ短調 RV418 P.35
(7)-(9) ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲 ト短調 RV417 P.369
(10)-(12) ヴィヴァルディ:チェロ協奏曲 イ短調 RV420
(13)-(15) ハイドン:チェロ協奏曲第2番 ニ長調 Hob.VIIb-2
【演奏】
クリスティーヌ・ワレフスカ(チェロ)
エリアフ・インバル(指揮)モンテカルロ・フィルハーモニー管弦楽団
アレキサンダー・ギブソン(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団(ドヴォルザーク、チャイコフスキー)
エド・デ・ワールト(指揮)イギリス室内管弦楽団(ハイドン)
クルト・レーデル(指揮)オランダ室内管弦楽団(ヴィヴァルディ)
【録音】
1970年11月(ブロッホ、ブルッフ、シューマン)
1971年1月(チャイコフスキー、ドヴォルザーク)
1972年1月(ハイドン)
1972年10月(プロコフィエフ、ハチャトゥリアン)
1973年11月(サン=サーンス)
1976年2月(ヴィヴァルディ)

…というように、主要な協奏曲がCD5枚に収められている。今夜はこの中からハイドンの第1番の協奏曲を取り出した。このほか、彼女の盤で現在容易に入手できるのは、小品集が一枚と2010年来日時のライヴ盤、それと昨年秋にワターレコード限定で2014年の新録音が出ている。

まずハイドンのこの曲自体が貴重かつ素晴らしい作品だ。世の著名なチェロ協奏曲といえば、現在ではほどんどがロマン派以降の作品で占められる。ドヴォルザーク、シューマン、サン・サーンス、プロコフィエフ、ハチャトゥリアン、エルガー等々。イタリアンバロックではヴィヴァルディ他多くの作品が残されているが、古典派、取り分けウィーン古典派では、チェロ教程で必ず出てくるロンベルク等の作品等を除くと、モーツァルトにもベートーヴェンにもチェロ協奏曲はない(現存しない)。そんな中、ハイドンの二つのチェロ協奏曲はバロック期と古典期の手法を混在させながらもソナタ形式をもつ充実した作品として残されている。

第1楽章。この時期の作品としては比較的長い序奏のあとソロが入る。特に展開部では短調に転じて極めて充実した響きを繰り広げる。第2楽章は穏やかで美しいラルゴ。ハイドンの書いたオケ部の響きが素晴らしく、交響曲作曲家としての面目躍如だ。第3楽章もソナタ形式で書かれていて、単純なロンド形式にはない充実した音響。チェロのテクニカルな側面も十全に発揮されハイポジションでの難所が続く。

ワレフスカの演奏は、彼女のソロが出た途端、大げさにいうと、これはコントラバスではないか、あるいは控え目にいってもピッチがかなり低いのはないかと思うほど。そう思わせるほど音が太く豊かに響く。チェロの胴全体がうなるような音、大きなヴィブラート等々。それらは裏返せば、現代的視点では演奏全体に揺れや誤差があることの証左でもあるが、同時に豊かに歌う楽器としてのチェロの顔でもある。エド・デ・ワールト指揮イギリス室内管弦楽団のバックも、ピリオドスタイルが一般化する前の時代のチャンバーサウンド。豊かで包まれるような音響で、ワレフスカの演奏と方向性がピタリとあい申し分ない。


この盤のハイドン第1協奏曲の音源。ワレフスカのチェロ、エド・デ・ワールト指揮イギリス室内管弦楽団による演奏。


マリー=エリザベート・ヘッカーによる全楽章。フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮ヒルヴァーサム放送室内フィルハーモニーのバック。マリー=エリザベート・ヘッカーは宮田大が優勝したロストロポーヴィッチ国際コンクールで宮田大の前の回に覇者となった若手。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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