<広い河の岸辺>



先週末土曜日、サボりがちな隣り町のマンドリンアンサンブルの練習へ。新しい曲だヨンと、楽譜を受け取った。<広い河の岸辺>というタイトル。知らないなあ…と思いつつ、ちょっと合わせましょうかと音出し。な~んだ、この曲ねと合点した。何でも、一昨年のNHK朝ドラで流れたこともあって、昨今流行っているようだ。テレビにも流行にも疎いので、今更ながらで恥ずかしい。原曲は古くから知られるスコットランド民謡。そういえば、確か弦楽ヴァージョンがあったよなあと思い出し、この盤を取り出した。


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ナクソスレーベルから出ている<イギリス弦楽小品集>。ナクソス人気が盛り上がっていた十数年前に買い求めた。イギリス近現代作曲家の手になる弦楽合奏の作品ばかりが収められている。以前、一度記事にしているので再掲しておこう。収録曲は以下の通り。

1. ジョン・ラター/組曲
2. チャールズ・ウィルフレッド・オール/コッツウォルド丘陵の民謡
3. ジョージ・メラクリーノ/遊戯
4. ピーター・ドッド/アイルランド牧歌
5. セシル・アームストロング・ギブズ/小さな舞踏組曲
6. フランク・コーデル/チャールズ一世のガイヤルド
7. デーヴィッド・ライアン/小組曲
8. ロイ・ダグラス/カンティレーナ
9. フィリップ・レイン/パントマイム

この盤が出た2000年前後のナクソスレーベルはユニークなコンセプトのアルバムを次々に出し、クラシック音楽界に大いに話題を振りまいた。それまで廉価盤レーベルというと、多くが大作曲家の名曲路線が中心だったが、ナクソスはあえてマイナーな作曲家、マイナーな作品、マイナーな演奏家を探し出してきた。このイギリス弦楽小品集もそんな盤の一つで、実際かなりのセールスを記録したようで、以降続編が何枚も出ている。この盤はその最初のもの。

イギリスの近現代作曲家の多くは、エリザベス朝の音楽やその当時の弦楽合奏への傾倒が顕著で、パーセル、エルガー、ブリテン、ホルストなどいずれも秀逸な弦楽合奏曲を残している。この盤にリストされている作曲家はごく普通のクラシックファンにはあまり馴染みのない名前が並ぶが、イギリス伝統の合唱やライトクラシック、編曲などで仕事をしている職業作曲家達だ。彼らも伝統的な弦楽合奏への思いがあるのだろう、この盤に聴くように美しく親しみやすい好ましい曲を残した。

合唱分野で有名なジョン・ラター(写真)の組曲は<さすらい><私の青縁取りのボンネット><おお、ウェイリー、ウェイリー><アイロンをかける>といった副題を持つ小品からなり、いずれもが美しくノスタルジック。この三曲目の<おお、ウェイリー、ウェイリー>が<広い河の岸辺>にあたる。その他ロイ・ダグラスのカンティレーナは深く静かな抒情とたたえ、デイヴィッド・ライアンの小組曲は快活かつ機知に富む。この盤の好調なセールスを受けて続編が第6集までリリースされたが、この第1集がもっとも優れているというのが大方の評価のようだ。「これ、お薦めですよ」といったことはなるべく言わないようにしているが、この盤はあらゆる音楽ファンに薦めたい。


ジョン・ラターの組曲の第3楽章<おお、ウェイリー、ウェイリー>。昔からよく歌われるスコットランド民謡。これが邦題<広い河の岸辺>。


キングス・シンガースが歌う<おお、ウェイリー、ウェイリー>。
バッハ無伴奏チェロ第1番を模した伴奏で中々面白い。


ラター組曲(弦楽のための組曲)全楽章。
https://youtu.be/3akgrPhv5ec



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非公開コメント

この旋律は私たちの世代ならPPMのThere is a shipで馴染んでました。いつ聴いても良いメロディーだと思っています。

Re: タイトルなし

そうそう、PPMも歌っていました。
私はPPM世代と微妙にずれるというか、音楽そのものに疎かった夢中の田舎の小中学生時代でした。
スコットランド民謡ルーツの名曲は、日本人の琴線に触れるのですね。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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