浜松市楽器博物館と19世紀ピアノ


人並みに仕事に追われた三十代、四十代を終え、ギターや音楽に再び時間を費やすようになったのが十年ほど前。同時に同じギターでも20世紀以降、現在に至るまでの主流であるモダンギターと併せて、19世紀の欧州古典ギター全盛期の楽器にも興味を持つようになった。そんな折、運よく訪れたのが静岡県浜松市にある浜松市楽器博物館だ。以前一度記事にしているが、自分でも忘れかけていることもあり、備忘のために再掲しておこう。


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2005年夏、ひょんなことから浜松駅近くにある浜松市楽器博物館に立ち寄る機会があった。楽器の街、浜松らしい施設。ほとんど来館者もない平日の昼下がり、そのコレクションをたっぷりと見ることができた。帰りがけに併設のショップで手に入れたのが写真のCD3点だ。同館所蔵の19世紀前半のフォルテピアノや16~19世紀チェンバロの当時のオリジナル楽器で、ウィーン古典派を中心にした当時の作品が収録されている。フォルテピアノとクリストフォリピアノは小倉貴久子、チェンバロは中野振一郎が弾いている。ピアノ編ではお馴染みのシューベルトの即興曲、メンデルスゾーンの無言歌、ベートーヴェンのソナタなどが作曲された当時の音でよみがえる。

それはどんな音か…軽やかで明るく(しかし輝かしくはない)、音の立ち上がりが速い。サステインは短めで、音のエネルギーとしては低音より高音が勝る。反応がよい分、感情表現の変化もよく出る…ピアノは門外漢でよく分からないながら、そんな印象の音だ。ギターにおける現代の楽器と当時の楽器の違いによく似ている。スタインウェイやヤマハに代表される現代のピアノは、より強靭で輝かしく、音のサステインは長い。反面キーメカニズムは当時より重くなり、その分楽器の性能を出し切るには、強いタッチが求められる。それは、家庭やサロンでの演奏を前提にしていた18世紀から19世紀半ばまでと違い、より大きなホールでの演奏を求められた時代背景による変化だった。

19世紀ピアノはより軽いタッチでコロコロと鳴る。現代のように力を込めて鋼を叩くような弾き方ではなかったのだろう。19世紀ギター同様、当時の作品を弾くにあたって、当時の楽器を使うと作曲が意図した響きや流れが見えてくるように感じる。実はこの博物館で感激したのは、ギター弾きのぼくとしてはピアノではなく、ギターやそのルーツ、末裔などの楽器群だ。入浴剤で知られるツムラの元社長が集めたいうバンジョーやフレンチマンドリンのコレクションは圧巻だった。ヴァイオリン族・リュート族・シターン族も本でしか見たことのなかった楽器の現物にお目にかかれた。和楽器もたくさんあった。当時の性能の悪い携帯カメラの写真だが載せておこう。機会があれば再訪したい施設だ。


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マリーネトランペット!
trumpet.jpg   viole.jpg  
合図の大砲代わりに使われたドラム
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各種ストローヴァイオリン
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和太鼓  琵琶

三味線  琴


ショパン時代のプレイエルピアノによるバラード作品23。



静岡県広報課による同館の詳細ビデオ。



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浜松の博物館は行ったことありませんが、アメリカの某大学の楽器資料館で昔のピアノを見たことがあります。
伝統的に鍵盤楽器はチェンバロ的な音が好まれていたので、「強弱がつけられるチェンバロ」として生まれたとかいう解説を聞きました。
その解説をしてくれた人がその場でベートーベンのピアノソナタの一部を弾いて、「ベートーベンのピアノソナタを現代ピアノで弾くと低音ばっかり重くなって聞き苦しい。低音がスッキリしている当時のピアノで弾いて初めて彼の曲の美しさがわかる。」っていう話は印象深く今でも覚えています。
ギター曲も同じなんだろうな、と思いました。

Re: タイトルなし

それは貴重な体験でしたね。おっしゃる通りで、ピアノの原型とされるクリストフォリ作のピアノの音は、チェンバロに極めて近いものだったようで、実際、手持ちのCDに入っている浜松市楽器博物館所有のクリストフォリピアノのレプリカの音も、少し響きの豊かなチェンバロという感じです。ギターにおける19世紀vs20世紀も、同じような経緯と性格だと感じます。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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