チック・コリア <リターン・トゥ・フォーエヴァー>



きのうに続いて、チック・コリアの盤を聴く。


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1972年に録音され70年代のジャズ・フュージョン最大のヒット作となったチック・コリアのアルバム。あまりに有名な盤だし、ぼくら世代にはとりわけ懐かしくかつ見慣れたジャケットデザインだ。70年代半ばのぼくの学生時代、四畳半フォークに飽き足らない少しスノッブな音楽好きは、大体がジャズを聴いていた。当時のそうした連中の下宿に必ずあったレコードがこの<リターン・トゥ・フォーエヴァー>だ。他によく見かけたアルバムといえば、<ウェザー・レポート>やキース・ジャレットの<ケルン・コンサート>あたりだったろうか。同時期にベストセラーになったリチャード・バック著「かもめのジョナサン」と記憶が重なる輩も多いだろう。アマゾンのサイトに上がっているコメントの多さからも、今でも広く聴き継がれている盤だと分かる。

このアルバムのリリース元であるECMレーベルは<The Most Beautiful Sound Next To Silence>「沈黙の次に美しい音」をコンセプトにしているという。コンテンポラリージャズの他にクラシック、特に現代音楽に積極的なドイツのレーベルだ。80年にアルヴォ・ペルトを広めたのもこのレーベルだった。
まったく予備知識なく、この盤をオーソドクスなジャズアルバムと思って聴くと少なからず驚くだろう。クラシックにそこそこ親しんだ人なら、明らかに現代音楽それもミニマルミュージックのアルバムと思うに違いない。コテコテのビバップはもう飽きた、その後の60年代フリージャズはやかましいだけだ…そう感じていた70年代初頭のリスナーに対するチック・コリアの回答がこの盤だということになるのだろう。 収録曲は以下の通り。

 1. リターン・トゥ・フォーエヴァー
 2. クリスタル・サイレンス
 3. ホワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥデイ
 4. サムタイム・アゴー~ラ・フィエスタ

アルバムタイトルにもなり、のちにバンド名にもなった第1曲<リターン・トゥ・フォーエヴァー>はそれこそミニマル風の静かな出だしで始まる。およそ5分間、単調な和声とリズムを繰り返しつつ次第に高揚。一旦頂点に達したのち再び冒頭の静けさに戻る。これをもう一度繰り返して12分間の曲が終わる。ジャズファンよりは近現代のクラシックファンの方がストレートにこの音楽を楽しめるに違いない。
チック・コリアが弾くフェンダー・ローズピアノの音も今聴くとレトロで独自の雰囲気があるし、スタンリー・クラークのベースもスリリングだ。ぼく自身は第3曲の<ワット・ゲーム・シャル・ウィ・プレイ・トゥデイ>だけがいやにポピュラリティが強く違和感を覚えるが、アルバムトータルとして傑出した盤であることにはまったく異論はない。このジャケットを眺めながら「沈黙の次に美しい音」に相応しいタイトルチューンを聴いていると、あす目覚めたらかもめになって、悩みながらも空を飛んでいてもいいかなと思ってしまう。


この盤の全曲。LP音源。



チック・コリアとスタンリー・クラーク。きのうの記事に書いたアルバム<ライト・アズ・フェザー>のタイトルチューン。



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通称「カモメ」

通称「カモメ」のジャケット。昔地元のJAZZも流す喫茶店で、マスターがCDトレイに載せた。山水のブラックフェイスのアンプAU9500(1972)とヨーロッパ産の2ウエイスピーカーで今もCDは鳴らされている。ちょっと懐かしかった。その後、チックコリア(p)とゲイリーバートン(Vib)のDuoでこのアルバムのなかから演奏したアルバムが出たりしましたが、それも良く聴きました。チックもキースもベテランの域ですが、個人的には当時よく聞きました。ケルン・コンサートも、また。

Re: 通称「カモメ」

この盤が流行った頃はガチガチのクラシックおたくで、ほとんど興味を持たず、後年その価値を理解しました。インスピレーションに富んだ第1曲と、あとに続くポップス調チューンとの落差が気になったものです。ケルンコンサートも手元にLPがありますが、久しく聴いていませんね。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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