クナッパーツブッシュのワグナー管弦楽曲集



すでに報じられているように先週6月10日、音楽評論家の宇野功芳氏が亡くなった。享年86歳。合掌。
ぼくら世代のみならず、今の若い音楽ファンにもお馴染みの存在だった。宇野氏の評論や著作に対しては様々な意見があるが、70年代当時、いささかアカデミックで、どちらともとれるような穏当な表現が多かったレコード評論の世界に新風を吹き込んだことだけは確かだ。ときに大仰な表現や見誤りもあったと思うが、<宇野節>といわれた独自の語り口は、クラシック音楽評論あるいはレコード評論をエンターテイメントとして成立させたといえる。

雑誌<男の隠れ家>2010年6月号増刊に出ていた宇野氏の自宅。
年代物のマランツのプリアンプ、クウォードのパワーアンプ、スピーカはAXIOM80とワーフデールのユニットとのこと。
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そんな宇野氏が70年代から盛んに推した演奏家の一人がドイツ西部のヴッパータール出身の指揮者ハンス・クナッパーツブッシュ(1888-1965)だ。きのうのシューリヒトのワグナーで思い出したこともあり、今夜はそのクナッパーツブッシュが晩年ミュンヘンフィルを振って録音したワグナーのアルバムを引っ張りだした。合わせて本棚からマイスタージンガー前奏曲とタンホイザー序曲のポケットスコアも。たまにはスコアを眺めながら聴くのも面白い。多分学生時代に書き込んだのだろう、赤鉛筆でアインザッツや主要なフレーズにマークが付いている(恥ずかしくも懐かしい)。


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ワグナー振りとしてつとに有名な彼クナッパーツブッシュを聴くには本来、ワグナーの楽劇全曲盤を聴くべきという向きも多いだろうが、序曲や前奏曲だけのこの盤だけ聴いても、彼が如何に図抜けた音楽家であったか十分にわかる。この盤を買ったのはもう40年近く前の学生の頃だが、当時からすでに耳にタコができるほど聴いていたマイスタージンガー前奏曲やタンホイザー序曲をこのクナーッパーツブッシュの盤で聴いたとき、それこそ腰が抜けるほどの衝撃を覚えたものだ。

例えばマイスタージンガー前奏曲では、出だしのテーマこそ、さりげなく提示されるのだが、そのあと曲が展開して盛り上がり、音の構成が厚くなるに従い、どんどんテンポを落としていき、その度に音楽が巨大になっていく。同時に各パートの音の絡みが実に明快に描き出され、ワグナーの書いた複雑なスコアの骨格とその組立てが実によくわかる。タンホイザーも同様だ。そして息の長いフレージングとクレシェンド。自分も曲に合わせて拍子を取ってみるのだが、クナの息の長いフレージングのタイミングまで待てずに、いつも先に次の拍に入ってしまうほどだ。この盤に収められている他の曲、トリスタンとイゾルデ、リエンチ序曲、ジークフリート牧歌、いずれもクナッパーツブッシュの至芸が堪能できる。


マイスタージンガー前奏曲。序盤が終わった4分過ぎ辺りから次第にテンポを落としていく。6分54秒を過ぎ、7分15秒辺りから完全にクナ節になる。


ワグナーゆかりの地でもあるミュンヘンのオケにとってワグナーは重要なレパートリーだ。
ミュンヘンフィルと2004年から2011年まで同団のシェフを務めたティーレマンによる<タンホイザー序曲>。


クナッパーツブッシュ生誕100年のドキュメンタリー



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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