グールドのワグナー



先回、先々回に続いてワグナーを。


Gould_Wagner.jpg  Gould_Box.jpg


グールドによるワグナー。例の80枚ボックスセットから、後期ロマン派・重厚長大・ドイツの権化ともいうべきワグナー作品をグールド自身がピアノ用にアレンジして弾いている盤を取り出した。<マイスタージンガー前奏曲>、神々の黄昏から<夜明けとジークフリートのラインへの旅>そして<ジークフリート牧歌>の3曲が収められている。ワグナー・ファン、グールド・ファン、あるいはその両方のファンであれば、かねてよりお馴染みの録音。

管弦楽曲のピアノ独奏へのトランスクリプションは珍しくない。19世紀に入りピアノを所有するにいたった中流以上の家庭では、流行りのオペラのくだりや管弦楽をピアノで弾いて楽しむというライフスタイルが定着しつつあった。ピアノは無理だがギターなら買えるという家庭向けに、19世紀のギター作曲家であるジュリアーニやメルツらは、当時の有名オペラの編曲を数多く残している。

さて、この盤の演奏だ。今更説明も不要だろうが、<マイスタージンガー前奏曲>は複数のモチーフが順次提示され、それらが曲進行につれて絡み合い、統合されてクライマックスを築く、そんな曲だ。グールドが好んで弾いたバッハとは時代が二百年も違う後期ロマン派のワグナー作品であるが、主題の絡み合いという意味ではバッハの多声音楽と共通点があるように思うし、実際グールドの演奏を聴いていると、ワグナーの提示した主題のたてよこの絡み合いを意識した演奏に聴こえる。

<夜明けとジークフリートのラインへの旅>は大規模な管弦楽のサンプルのような曲でもあるが、こうしてピアノで聴くとオーケストラ版に比べ当然響きや和声の重なりは薄くなる。その分、様々なモティーフが明確に浮かび上がるし、オケ版では重層的な響きに埋もれがちの対旋律もよく聴き取れる。グールドの中では、バッハもワグナーも多層的な音楽、様々なモティーフが三次元的に構成されるものという意味で共通したイメージがあり、バッハもワグナーも本質的同じ音楽として扱っているように感じる。
もう1曲収められた「ジークフリート牧歌」は、すべての音符をいつくしむような弾きぶりで、やはり彼が好んだブラームスの間奏曲などと共通した味わいを感じさせる。グールドは他にもベートーヴェンの交響曲をピアノアレンジで弾いている。いずれまた聴き直そう。


<マイスタージンガー前奏曲>を楽しそうに弾き、語るグールド。


<マイスタージンガー前奏曲>全曲


<ジークフリート牧歌>
https://youtu.be/FIjesjmMq_g


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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