佐藤弘和 <48のやさしい小品集>
クラシックギターの楽譜は専門店で手に入れるのが一般的だが、少し大きめの書店にある楽譜コーナーにも最近ときどき見かけることがある。もちろん珍しいものではなく、国内出版社の流通品ではあるが、わざわざ取寄せるまでもなく、見かけたついでに手に入れるときもある。つい先日も近所のショッピングモール内の書店にこんな曲集があったので買ってみた。

佐藤弘和の小品集。<風の間奏曲~48のやさしい小品集~>と題されている。現代ギター社からこの4月に発売。1997年4月から1998年3月までの一年間に渡って月刊現代ギターに連載されていた小品をまとめたもの。佐藤弘和氏は1966年弘前市生まれ。弘前大学教育学部音楽科を卒業後、ギタリストとして、またギター曲を中心にした作曲家として活躍している。この曲集に関して佐藤氏いわく、ピアノによくある「子供のための小品集」のようなものがギターにもあったらとも思いで作曲したとのこと。おおむね初級から中級向けの小品が並ぶ。中上級者ならほとんど初見で通せるだろう。いずれも1分に満たないほどの長さ。コンセプトは「やさしく弾ける」「分かりやすく、親しみやすい」だそうで、その意図は十分に反映されている。
クラシックギターの初級者向け小品というと、カルリやカルカッシなどの小さなエチュードが上げられる。確かに音数は少なく、古典的でシンプルな和声で出来上がってはいるが、弾いていて楽しいかといわれると、残念ながらノーだろう。最大の理由は和声があまりにシンプルすぎるからだ。もちろん19世紀初頭の古典和声以上のものを求めるわけではないが、ギターの場合、技術レベルを限定すると和声はどうしてもごくごくシンプルになり、面白さはない。その点この佐藤氏の曲集は、音数を極力少なくし、ローポジションを主体にしながらも、和声的には6,7,9といった和音が多用され、近代的あるいは現代ポップス風の響きが使われている。いわゆる<オシャレ~!>な感じといえば分かりやすいだろうか。佐藤氏の他の作品に接したことのある輩なら「いつもの佐藤節!」とでも感じるだろう。クラシック音楽全般に精通している佐藤氏ゆえ、小品ながらも舞曲、行進曲、変拍子など様々な曲形式を含み、長調短調の按配も考えられている。音楽にノリやすい三拍子系の曲が多いのも特徴だろうか。
大曲チャレンジもいいが、こんな曲集を初見で雰囲気よく、すなわち音楽様式を感じ取って、さらりと弾く技量も身に付けたいものだ。近々時間をみつけていくつか宅録してみようと思っている。
だいぶ前に宅録した<素朴な歌>。佐藤弘和氏の作品中もっともポピュラーな曲。
同じく佐藤氏作曲の<小シシリエンヌ>
https://youtu.be/7_arDhun6xA
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