オーケストラアンサンブル金沢 ジュリアン・ユー編 組曲「展覧会の絵」
昨晩アップしたつもりだった記事が公開されていないことに気付いた。きょうの分と併せて更新・公開することにしよう。
ところで先週のこと、一日で拍手を20件もいただいた。それまではポツポツいうレベルだったので驚いた。ある記事にまとめて拍手があったのではなく、これまでの記事に万遍なく入っていた。多分ある方がこのブログにやっていきて過去の記事をさかのぼって読みながら、拍手をしてくれたのだろう。いずこの方かはわかないが、感謝感謝。ありがとうございます(よろしければコメントをぜひ)。
さて<成り行きロシアンウィーク>の四日目。今夜はロシアの作品中、もっとも知名度、人気とも高い曲の一つと思われるムソルグスキー作曲の組曲「展覧会の絵」を聴くことにしよう。手元にある同曲の盤を並べてみた(写真右)。この曲は一般的には、オリジナルのピアノ独奏と、それをラヴェルが管弦楽に編曲したものが有名だが、他にもたくさんのアレンジがある。手元にあるものでは、比較的有名な指揮者ストコフスキーによるもの、ピアニストでもあり指揮者でもあるアシュケナージのよるもの、畑は違うがプログレシヴ・ロックの雄;エマーソン・レイク・アンド・パーマー(ELP)によるものなど、それとメジャーなラヴェル編では、トスカニーニ盤、アンセルメ盤、ジュリーニ&シカゴ響盤、スラットキン&セントルイス響盤、チェリビダッケ&ミュンヘンフィル盤、アンチェル&チェコフィル盤、インバル&フランクフルト放響盤などがあった。実はきょうはそのどれでもなく、1957年北京生まれでオーストラリア在住の中国人作曲家ジュリアン・ユーの編曲を岩城宏之指揮のオーケストラアンサンブル金沢(OEK)が演奏している盤を取り出した。この編曲はOEKの音楽監督だった岩城宏之が企画し、このコンビによって日本初演された。


この盤は実に面白い。久々に新鮮な「展覧会の絵」を聴く思いだ。ストコフスキー版もアシュケナージ版もオーケストラの編成としてはラヴェル版と変わらない現代のフルオーケストラを前提しているので、個々のアレンジに違いはあっても、トータルとしての響きの印象はラヴェル版を大きくは変わらない。ところがこのジュリアン・ユー版は、オケの編成からしてまったく斬新だ。ブックレットの写真からすると弦や管は各パート1名、総勢十数名といったところか。ともかく編成が小さい。一方打楽器は豊富で、ヴィブラフォン、チャレスタ、グロッケンシュピール他、中国音楽に使われるような見慣れないドラの類もある。
曲はラヴェル編同様、プロムナードをはさみながら進行する。最初のプロムナードはヴィオラのソロで始まり、小編成による透明で浸透感のある響きが実に新鮮だ。またオケとしての運動性能もより高まるので、速いテンポの曲でも音がダンゴにならず曲の骨格がよくわかる。随所にラヴェル編にはないパッセージや、中国風の響きも入っていて、一聴して現代音楽風の手法も聴かれ、30分余りをまったく飽きずに新鮮な驚きと共感をもって楽しめる。更にこの盤はすこぶる音がいい。OEKの本拠地、金沢駅前の石川県立音楽堂での録音だが、小編成の個々の楽器が一つ一つ指差せるように明瞭に録られ、かつ全体としての響きのよさ、音圧感、迫力も申し分ない。音楽監督だった岩城宏之が生前、石川県立音楽堂の響きは世界で一、二を競うレベルだと言っていたのを思い出す。この盤を聴くとそれもうなづける。ラヴェル編に食傷気味の方には強力プッシュの1枚だ。併録されているプロコフィエフの古典交響曲も、オーソドクスな中にもOEKらしいクリアな響きが随所にあふれ、素晴らしく見通しよい演奏だ。
それにしてもこのジャケット写真の岩城宏之の笑顔。ぼくにとっては40年前、高校時代に居間にあった白黒16インチ画面で見ていたN響アワー以来、もっとも親近感のある指揮者の1人だった。早いもので2006年6月に亡くなってからやがて5年になる。
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