アントニオ・ヤニグロ(Vc) チェロ愛奏曲集



先日一通の非公開コメントが届いた。ブログタイトルに<六弦>とあるが、ギターネタが少ない。延々とクラシック音楽ネタを書かれても退屈だ。記事の最初の5行以内にギターの文字がないと、その記事はそれ以上読む気にならない…と、まあそんな内容。
そうねえ、ブログタイトルにはいつわり有りと言われるとそうかもしれないが、クラシック音楽ネタの中にもギターネタを折り込んでいることも少なくないつもりだ。クラシックギター弾きと自認しながら、クラシック音楽そのものにとんと興味のない輩が多いことをここで話題にする気はないが、クラシック音楽が延々と…などと了見の狭いことを言わずに、目を通してほしいッスね。
さて土曜の晩から日付変って日曜の丑三つ時。少し前からアントニオ・ヤニグロのチェロを絞り気味のボリュームで聴いている。


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初めてその名を聞くと、中南米のプロレスラーではないかと思うような名前のアントニオ・ヤニグロ(1918-1989)。イタリアで生まれ、壮年期以降をザグレブで送った。50年代には次の世代を担う世界最高のチェリストとまで言われ多くの録音も残したが、70年代を前に手の故障で演奏家としてのキャリアを断念せざるを得なくなる。その後は自ら設立したザグレブ室内合奏団の指揮者として活躍。ぼくが高校生の時分、彼の名前に触れたのもチェリストとしてではなく、指揮者としてその合奏団を振ったレコードだった。

それにしてもこの盤は素晴らしい。
多分この十年の間でもっとも取り出すことの多かった盤の中の一つで、このブログでも過去に何度か取り上げた。今でもときどき取り出して聴く。手元にある何枚かのチェロ小品集の中で群を抜いて素晴らしい演奏だ。元々1200円の廉価盤だがすでに廃盤で、けっこうな中古価格がついている。収録曲は以下の通り。

1.「ゴイェスカス」~間奏曲(グラナドス)
2. シシリエンヌ(パラディス)
3. 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番BWV1003~アンダンテ(バッハ)
4. ソナタ ニ短調第2巻の5~アレグロ・スピリトーソ(スナイエ)
5. 夢のあとにop.7-1(フォーレ)
6. 村の歌(ポッパー)
7. わが母の教え給いし歌op.55-4(ドヴォルザーク)
8. 「恋は魔術師」~火祭りの踊り(ファリャ)
9. 白鳥(サン=サーンス)
10. 蝶々(ポッパー)
11. メロディ ヘ長調op.3-1(ルビンシテイン)
12. 夜想曲 嬰ハ短調 遺作(ショパン)
13. グラナディーナ(ニン)
14. エレジー ハ短調op.24(フォーレ)
15. ハバネラ形式の小品(ラヴェル)
16. 熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ)

お馴染みの、といっていいチェロ小品が並ぶが、時代と地域そして緩急取り混ぜた好選曲。そしてヤニグロのチェロはそれぞれの曲想によって見事に語り口を変え、それぞれの曲の魅力をあふれんばかりに引き出している。全体にゆったりとしたテンポをとり、なおかつフレーズの進行を決して急がない。もちろん技巧のキレと安定性は十二分で、テンポを遅くしていても速度が遅いという感じにはならず、あくまで音楽の呼吸が深く余裕があると言ったらいいだろうか。中でもグラナドス、バッハのBWV1003のアンダンテ、フォーレの2曲が曲の良さもあって光る。火祭りの踊りでの明暗の描き分けとドライブ感あふれるボウイングも素晴らしし、有名な白鳥では歌い過ぎずに楚々として格調が高い。
若い頃と違って、自分の好みの盤をあれこれ他人に薦めることはしないように心がけているが、この盤だけは事あるごとに強力プッシュしてしまう。チェロのこうした小品集として手元にはジャンドロン、藤原真理、徳永兼一郎、トルトゥリエ、シュタルケル他の盤があるが、いずれもヤニグロには及ばない。この盤に関して、ぼくはこれ以上ないというくらいの賛辞を送りたい。


ゴエスカス間奏曲


<夢のあとに>。1994年生まれのエドガー・モロウ(Vc)。


ギターソロによる<夢のあとに>。チェロ相方と合わせたことがあるが、多くのフレーズで4声の密集した和音を求められ、かなり苦労した。このソロアレンジはよく出来ていると思う。


ヤニグロが設立したザグレヴの合奏団を率いて、クープランの作品を演奏する映像があった。ヤニグロは50年代に嘱望されながら手の故障から70年代には指揮活動に軸足を移した。本業のチェロを弾く姿は貴重。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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