アルミンクのブルックナー第8 群馬交響楽団定期演奏会



きのう土曜日は先月に続いて群馬交響楽団の演奏会へ。
人気のイケメン指揮者クリスティアン・アルミンク来演。曲目はブルックナーの第8交響曲。夏の夜にガツンと1曲。休憩なしの80分一本勝負となった。


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ブルックナー/交響曲第8番ハ短調(ハース版)
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指揮:クリスティアン・アルミンク 管弦楽:群馬交響楽団
2016年7月22日(土) 群馬音楽センター
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ブルックナーに開眼したのは今から40年前の学生時代。FM放送をせっせとエアチェック。4番、5番、7番、8番、9番と聴き漁り、さらに3番、6番へと触手をのばした。在籍していたギター・マンドリン系サークルの同輩に志を同じくするOK君がいて、マタチッチやチェリビダッケのライヴ演奏録音を聴いた翌日は、二人して興奮気味に語り合ったものだ。中でも第8番はその規模の大きさから、そして豪放磊落な曲想と天国的な美しさとを併せ持つことから大のお気に入りとなった。これまで聴いてきた幾多の曲中、もっとも熱心に聴いた曲の一つだ。

当夜の指揮者クリスチャン・アルミンク(1971-)は長らく新日本フィルの音楽監督を務めたこともあって、日本ではお馴染みの指揮者だ。ウィーンで学んだ正統派。そして父親はクラシックのメジャーレーベル:独グラモフォン社の社長という毛並みのよさ。加えて長身と端整な顔立ちで女性人気も高い。今回アルミンクはハース版を使用。20世紀以来ノヴァーク版、ハース版、相半ばしているが、ハース版にみられるいくつかの魅力的な経過句の追加はこの曲の美しさを引き立てる。

定刻18時45分を2分ほど過ぎて団員登場。通常編成に加え、持ち替えのワグナーチューバ3本も加わる9名のホルンセクション、2台のハープなど、十分なスペースがある会場:群馬音楽センターのステージが狭く見えるほどだ。いつも通り、コンマス伊藤文乃さんのリードでチューニングが終わり、程なくしてアルミンク氏が登場。しばしの沈黙のあと、静かに<ブルックナー開始>が始まった。

第1楽章のテンポはやや遅めの開始。主部に入るとモチーフの切り替えの際には、かなり大きなテンポチェンジがある。また特に弦楽群フレーズの歌わせ方に意を尽くし、ブルックナーによくある、フレーズの終わりに向けてクレシェンドし、そのピークでスパッと切り上げるような箇所で処理がかなり大胆。そうした解釈が重なって、全体に抑揚に富む、よく歌うブルックナーになっていた。テンポをあまり変えず、淡々と、あるいは無造作にフレーズを積み重ねて曲の骨格の大きさを示すような演奏とは方向性が異なる。
続く第2楽章をどんなテンポとアーティキュレーションで演奏するかは、この曲全体の印象に大きく影響する。この楽章に関してぼく自身は、ゴツゴツした肌合いの解釈を好むが、当夜のアルミンクはややレガート寄りでテンポもやや遅め。それでもティンパニーが要所要所で重めの杭を打ち込み、曲全体として甘くはならず、重量感に富んでいて悪くなかった。
第3楽章はこの曲の聴きどころの一つ。音盤でもしばしば聴くこの第8番だが、この第3楽章をこうして居ずまいを正して通して聴くのは久しぶりだ。弦楽群の美しいメロディー、ワグナーチューバも加わる荘重なコラール、大胆な和声と転調…と、この大曲の響きに身を任せて浸りきる。開演冒頭から控えていたシンバルとトライアングルの奏者も、この楽章のクライマックスでようやく出番となった(シンバルは2打。そしてまた休止)。
終楽章はやや速めのテンポで開始。コザックの進軍と称される弦楽器群の音形にのって金管群のコラールとトランペットのファンファーレが響くこの開始はいつ聴いても興奮を禁じえない。そして次のフレーズに移る前のティンパニーの強打。当夜は申し分のない叩きぶりで、次のフレーズへの力が入る。主部に入ってからは第1楽章同様、弦楽群をかなり積極的に歌わせるが、あまりもたれずに先へ先へと進む。会場のアコースティックがデッドなため、しばしば現われる<ブルックナー休止>を十分に感じるのは難しく、そのあたりも考慮しての解釈に違いない。終盤、コーダに入る前にすでに演奏時間は80分越え。そしてコーダはじっくりとしたテンポで入り、最後もそのテンポを煽ることなく重厚な大団円となった。

夏の夜の暑気払い。歌わせ上手なアルミンクと群響の好演による一曲入魂のブルックナー。85分の音響ワールドに酔いしれて、会場をあとにした。


ヴァント&NDR響による終楽章。


マタチッチ&N響による終楽章


終楽章冒頭のローブラスセクション。



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No title

 アルミンクさんの指揮では、前回の4番に続き、今回の8番も好演で素晴らしかったですね(前回の方が客席が盛り上がっていましたが)。この3月に聴いたスクロヴァチェフスキさん+読響の8番の豪快そのものの演奏に比べ、アルミンクさんの指揮は対照的な演奏だったように感じました。
 高崎定期に続いて本日、東毛定期に出かけてきました。こちらも好演でした。言わずもがなのことですが、こちらの方が響きの点でブルックナー演奏に合っていますね。
 それにしても、こんな佳い公演なのに観客が少なすぎます。この小さなホールで、見たところ6割程度でしょうか。「本当に音楽が好きな人が来れば良い」という考え方ではなく、素晴らしい演奏を多くの人に知ってもらい楽しんでもらうためにも、もっと集客への努力をするべきだと思います。熊谷など県外ナンバーの人もいるのですから、県内及び近県への集客の努力をもっと頑張ってほしいです。

Re: No title

バルビさん、こんばんは。
私もきょう日曜のエアリスでの公演を聴きたかったのですが、都合付かず、昨晩音楽センターへ行きました。エアリスの音響はその無造作な作りにも関わらず、県内でもっともよいホールの一つですね。ブルックナーも存分に響いたことでしょう。
みかぼみらい、ぶんか村、笠懸野など、県内中小市町村によいホールがあるのは悪くないと思いますが、いずれもキャパがフルオケにはやや小さく残念。でも、おっしゃるように、使い方やPRの仕方で、もっと活用できるようにも思えます。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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