バッハ<ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ>



週明け月曜日。あすはまたまた関東に台風接近だという。きょう午後には職場の総務部門から、安全確保を優先し、無理な出勤は控えるようにとの通達があったほどだ。まあ、朝の様子で考えましょか…
さて、二日ぶりに夜半の音盤タイム。今夜はぐっと渋く、こんな盤を取り出した。


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バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ(BWV 1014-1019)。ヘンリク・シェリングのヴァイオリンとヘルムート・ヴァルヒャのチェンバロによる盤。1969年録音。十年程前、廉価盤でリリースされた際に買い求めた。

この作品は以降の時代の独奏楽器と鍵盤楽器伴奏という形式の器楽ソナタの範になったとされる。実際チェンバロパートには当時一般的だった通奏低音の役割を超えて独立した声部やフレーズが与えられ、ヴァイオリンパートと一体的に音楽を構成する。一方独奏ヴァイオリンは単独で自己主張することが少なく少々地味な印象すらあり、より人気の高い無伴奏の作品が一つの楽器で表現の限りを尽くすがごとく広い音域と多彩な技巧を凝らしているのとは対照的だ。

この演奏を聴いて印象的なのはシェリングの独奏ヴァイオリンではなく、バッハの求道者として有名なヴァルヒャの弾くチェンバロパートだ。全6曲、いずれも生真面目を通り越して、いささかぶっきら棒と感じるほどの弾きぶりといったらいいだろうか。拍節感は厳格でありながら、厳しさというよりは素朴さを感じ、フレーズの入りや出も持って回ったようなところは皆無だ。彼の繰り出す音楽からは、十六歳で失明しながらバッハ鍵盤作品をすべて暗譜し、二度に渡ってオルガン作品の全曲録音を果たしたという彼の求道的な姿勢と飾らない音楽世界が聴こえてくる。そんなヴァルヒャに呼応してか、シェリングのヴァイオリンも音価を短めに切り詰め、決して歌い過ぎずに内省的に弾き進めていく。マタイ受難曲の有名なアリア<神よ、憐れみたまえ>を冒頭に配した第4番ハ短調BWV1017など、美音を駆使してもっとメロディアスに歌うことは容易であったろうが、そうしない見識も立派。昨今のオリジナル志向、ピリオドアプローチからはかけ離れた演奏だが、一時代を象徴する名盤だ。


この盤の全6曲


メニューインとグールドによる第4番。第1曲シチリアーノは、マタイ受難曲中の名アリア<憐れみたまえ>を思い起こさせる。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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