タチアナ・ヴァシリエヴァ(Vc)来演 群馬交響楽団第523回定期演奏会



十月最後の週末。きのう土曜日は当地群馬交響楽団の定期演奏会へ。七月のブルックナー以来だから三ヶ月ぶりになる。


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ドヴォルザーク/チェロ協奏曲 ロ短調 作品104
 ―休憩―
ベートーヴェン/交響曲 第3番 変ホ長調 作品55 「英雄」
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チェロ:タチアナ・ヴァシリエヴァ
指揮:飯守泰次郎 管弦楽:群馬交響楽団
2016年10月29日(土)18:45~ 群馬音楽センター
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秋の陽射しもすっかり短くなり、会場の群馬音楽センターに着く頃にはすっかり日が暮れる。前日に電話予約しておいたチケットを受け取り、開場時刻を少し過ぎて席についたあとロビーで一服。コンビニサンドと缶コーヒーを小腹におさめる。都会の豪華ホールホワイエでチーズとシャンパンもいいが、築半世紀のレトロなロビーでひとりコンビニサンドもローカル色MAXで悪くない。

さて当夜は指揮者に飯守泰次郎(1940-)、独奏チェロにタチアナ・ヴァシリエヴァ(1977-)を迎え、ドヴォルザークのチェロ協とベートーヴェンの英雄という、休憩はさんで前後半がっぷり四つの重量級プログラム。例によって音楽評論家;渡辺和彦氏のプレトークのあと、定刻の18時45分に客電がおちて開演となった。

すっかりワグナー振りのイメージが強くなった飯守泰次郎氏。ドヴォルザークの協奏曲でも当然重厚な音楽作りを目指すかと予想していたが、やはりその通り。オケ編成も後半の英雄と同じ弦楽14型(14-12-10-8-7)で厚い布陣。第1楽章冒頭から色濃い音楽を繰り広げる。これでテンポが遅いと時に鈍重な展開になりかねないが、当夜はドヴォルザークもベートーヴェンも、20世紀の標準モダンオケとしてはやや速めのテンポ設定で、厚い響きと合わせて音楽の推進力に力がこもる。一方チェロのタチアナ・ヴァシリエヴァは当夜の印象ではゴリゴリと力で押すタイプではなく、音楽全体のプロポーションを整え、無理のない音楽を展開するように感じた。もちろん1994年ミュンヘン国際コンクール第2位、宮田大が2009年に覇者となったロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールで2001年に第1位となった実力はいかんなく発揮され、難曲のこの曲を上から下までまったく不安げなところなく弾き通す。 少々個性の異なる両人の演奏は、ソロ対伴奏という構図から離れ、まるでチェロ付きの交響曲のように豊かに響いた。飯守氏の積極的なオケコントロールは随所でチェロのソロに拮抗するフレーズをオケから引き出し、チェロと対話する木管群のフレーズ、弦楽群の隠されたアクセントなど、ぼく自身これまで幾度となく聴いてきたこの曲から多くの新たな発見を得た。

休憩のあとはベートーヴェンの英雄。こちらもドヴォルザーク同様のアプローチ。久々に聴く重厚なエロイカだった。ドヴォルザークもそうだったが、飯守氏は過度な弱音は避け、p指示はmp、mfはfくらいの印象を受ける。オケ全体の音量ディナーミクよりは、各パートごとのフレージングやアーティキュレーションに意を尽くし、分厚い音響とやや速めのテンポとでグイグイと音楽を引っ張っていく印象をもった。 それにしてもこの英雄交響曲、やはり稀代の名曲だ。第2交響曲までとほとんど変わらない古典的な2管編成ながら、コントラバスに独立した動きを与えたり、ホルンを1本追加してスケルツォで活躍させるといった斬新な試み、また第1楽章冒頭の主和音二つの叩きつけによる開始や、再現部にも第2の展開部ともいえるコーダをおく構成など、音楽そのものの斬新かつ緻密な組立てによって、それまでの古典交響曲とは一線を画す傑作となった。

これまでドヴォルザークの協奏曲も英雄も何度か実演に接しているが、当夜の演奏は、その色濃く分厚い響きと停滞しない推進力に満ちた曲の運び、そしていささか個性の異なるチェリストとの相乗効果など、管弦楽という形態がもつポテンシャルをあらためて印象付けた演奏会だった。


タチアナ・ヴァシリエヴァによるドヴォルザークの第2楽章。バックは香港のオケ。


タチアナ・ヴァシリエヴァが参加したブラームスのクラリネット三重奏曲イ短調第1楽章。



◆追伸◆
来日中のタチアナ・ヴァシリエヴァによる無伴奏作品(バッハ、コダーイ)のリサイタルが11月2日には東京文化会館で予定されている。


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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