ホロヴィッツのスカルラッティ



週明け月曜日。事情あって仕事を休み野暮用少々。昼過ぎには帰宅してだらだらと過ごす。十月もきょうで終わり。ここへきて日々気温も下がり、いよいよ秋深し。夜は少し暖がほしくなるほどだ。じっくりブラームスの渋い室内楽でもと思うが、あまりシリアスな気分でもないなあと思いつつ音盤棚をサーチ。こんな盤を取り出した。


201610_Horowitz.jpg  201610_Horowitz_Scarlatti.jpg


ホロヴィッツ(1903-1989)が弾くドメニコ・スカルラッティ(1685-1757)のソナタ集。1964年の録音で、彼の盤歴あるいはスカルラッティの演奏を語るとき必ず登場する盤でもある。手持ちの盤は80年代初頭に買ったLPだが、もちろん現在もCDで入手できる。収録曲は以下の通り。現在出ているCDにはさらに数曲が追加されている。

side-A
1.ソナタ ニ長調L.424 / 2.ソナタ イ短調L.241 / 3.ソナタ ヘ長調L.188
4.ソナタ ヘ短調L.118 / 5.ソナタ ト長調L.349 / 6.ソナタ ニ長調L.465
side-B
1.ソナタ ホ長調L.21 / 2.ソナタ変ホ長調L.203 / 3.ソナタ ホ短調L.22
4.ソナタ ニ長調L.164 / 5.ソナタ ヘ短調L.187 / 6.ソナタ イ長調L.391

ホロヴィッツの熱心なファンでもなく、イタリアンバロックに特別な興味があるわけでもないので、この盤について多くを語る資格も知見もないのは我ながら残念…そう地団駄踏みたくなるくらいこの盤は曲も演奏も中々チャーミングだ。いずれの曲もスカルラッティが極めたチェンバロの魅力と可能性にあふれた作品群だが、19世紀的ヴィルティオーゾの系譜を受け継ぐホロヴィッツがモダンピアノを駆使し、ロマンティック様式ながら、どちらかといえば音色をモノトーンに抑えて淡々と弾いている。しかし時々見せる切れ味のいい技巧はさすがで、何とも軽妙かつ自在に音符を操っている感じがする。音が跳躍する曲、横に流れる曲、陽気でコミカルな曲、悲しみ湛えた叙情的な曲、それぞれに味わい深く、その作品の個性をよく伝えてくれる。

スカルラッティのソナタは昔からギター用の編曲譜がいくつか出ていて、ギター弾きにも馴染みの曲が多い。ぼくもときどき楽譜を広げて下手なりに楽しんでいるが、原曲が持つ鍵盤楽器での軽妙な味わいをギターで再現するには相当な技巧が求められ、中級程度のアマチュアでは中々歯が立たない。


L.33.1986年、60年ぶりに訪れたモスクワでのライヴ映像。巨人晩年の至芸というべきか。もちろん完全にロマンティックスタイル。ショパンかと思うほど(^^;


同じくL.23


ホロヴィッツの1986年モスクワ公演の模様

ギターデュオによるL.23の演奏。ギター2本ならば原曲のフレーズと和声を無理なく再現できる。



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No title

スカルラッティと言えば、僕らの世代のギター弾きにとっては、ブローウェルショックですね。端正な演奏、そして自身の記したアカデミックなライナーノーツには驚かされたものです。かつて札幌での公演の際、握手して、舞踏礼賛の楽譜にサインしてもらいました。なつかしいな。

Re: No title

しょうむらのりひこさん、こんばんは。
そうそうブローウェルの楽譜は貴重なものでした。拙宅でも書棚のどこかに眠っているはずです(^^;
近年、彼の作品が一時期ほど取り上げられないのは残念です。現代作品といっても、なんとか○ークとか○ィアンスなど、耳に心地よい曲ばかりで、プロギタリストの気骨はどこにいったのかと思ってしまいます。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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