マレイ・ペライアのバッハ


週末土曜日。きのうの記事に書いた通り、きょうは明日の本番を前に、ギター仲間四人衆で最後の練習。う~ん、2週間前の合わせ練習のときに比べ、確実に改善があったところと、依然として克服できないところとが相半ばして、微妙な仕上がり状況。まあ、止まらずに何とか通して楽しみましょうと、ユルユルの合意で本日解散。あすはどんな具合かな…。 さて、北風吹く寒い一日を追え、アラジンストーブで暖をとりながら一服。こんな盤を取り出した。


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マレイ・ペライアの弾くバッハのパルティータ。ペライアは90年代に指の故障でしばらくブランクがあったがそれを克服。復帰以降の演奏は年齢的にも円熟期を迎えた彼の近年の様子を伝えるものとして評判になっている。特に一連のバッハ演奏は高く評価されている。手元には以前も記事にしたバッハのパルティータ第2・3・4番が入った盤と、きょう取り上げる第1・5・6番の盤がある。

相変わらず美しい音色だ。ややオンマイクでしっかり音の芯をとらえ、それに過度にならない美しい残響がのった録音も見事。今どき中々珍しい見開きのジャケットには録音会場の様子が写っているが、天井の高いオーディトリアムで、いかにもいい音が録れそうだ。 ペライアの解釈は全編奇をてらうところがなくニュートラルだ。そのため美しいピアノの響きとバッハが書いた音そのものに集中できる。もちろんバッハの曲をモダンピアノで弾くことの是非はあるだろうが、ぼく自身は是として受入れる方なので、ペライアの演奏はモダンピアノの美しさを引き出している演奏として満点を付けたい。

第1番のプレリュードは当然第1番の最初の曲ではあるが、全6曲のプレリュードであるかのように静かに、そして丁寧に奏される。アルマンドやクーラントのテンポ設定も流れは十分感じるものの決して急がずに曲を運ぶ。サラバンドも自然なテンポ設定で、歌い方もシフほどではなく控え目だ。 第5番はト長調という明るい調性を意識してか、第1曲のプレリュードでも粒のよく揃ったスケール音形を明快かつ溌剌と繰り出す。そして続く第2曲アルマンドは一転してレガートに引き分け、その対比が見事だ。各声部を丁寧に弾き分ける第6曲パスピエと続くジーグではモダンピアノのダイナミズムを生かしていきいきと聴かせる。 ホ短調の第6番はプレリュードからときに陰りのある表情も感じながら、全6曲を締めくくるにふさわしくキリリと引き締まり、聴いているこちらも居住まいを正してしまうほどだ。

こうしてペライアのバッハを聴いていると、彼はいい歳の重ね方をし、実りある円熟期を迎えているように感じる。モダンピアノによる新たなバッハ・スタンダードとの評価もうなづける。


YouTubeに2003年アムステルダムのコンセルトヘボウでのライブ音源(動画はなし)があったの、第6番の第1曲トッカータを貼っておこう。順次他の曲も再生される設定になっているようだ。録音のためか音がやや硬質に響き、CDで聴く彼の音とはかなり雰囲気が違う。



こちらは録音セッションの合間にバッハ演奏について語っている。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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