モーツァルト 弦五第四ト短調


きのうは冬至。柚子湯につかり、小豆かぼちゃを食べ、気分はすっかり冬の年の瀬になったが、関東地方はこのところ11月並みの暖かさ。きのうもきょうもコートを羽織らず、ジャケットと薄手巻物の通勤コーデとなった。さて明日は祝日。ひと息ついて、けさのNHKFMで流れていたので思い出し、こんな盤を取り出した。


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モーツァルトの弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516。アマデウス弦楽四重奏団にセシル・アロノヴィックのヴィオラが加わった演奏。1951年のモノラル録音。手持ちの盤は70年代後半に出ていた廉価盤<ウェストミンスター名盤コレクション>の一枚で、はっきりした記憶がないが、発売からそう月日が経っていない、社会人になったかならないかという時期に手に入れた。数年ぶりに針を下ろしたが、40年近く前の盤とは思えない良好な状態で、モノラルながらフレッシュな音が飛び出してきた。アマデウス弦楽四重奏団は同じセシル・アロノヴィックと組んでこの曲を独グラモフォンにステレオで再録音している。きょうFMで聴いたのはそのステレオ盤の方。

この曲を語るとき必ず引き合いに出されるのは。小林秀雄の名著『モオツァルト・無常ということ』で引用した「モオツァルトのかなしみは疾走する」というフレーズだ。若い時分に読んだときは、はなはだ情緒的にわかったような気分になって、感慨にふけったものだが、今となってはその言葉通りに、深読みもせずに、疾走するト短調の音符群だけが浮かんでくる。モーツァルトが残した600曲余のうち短調作品は20に満たない。そのいずれもが古典的様式に枠取りされながらも、深い悲しみと情念を表出する。

第1楽章。分散和音上昇と半音階下降の印象的な主題に緊張感あふれる。第2楽章にメヌエットを配したややイレギュラーな構成。弱音器を付けた第3楽章は夢見心地のアダージョ。詠嘆的な短調モチーフと、長調に転じて裏打ち伴奏音形にのって奏されるモチーフが対照的。第4楽章は悲痛な響きの序奏のあと、流麗かつ軽快なロンドが続く。傑作揃いのモーツァルトの短調作品中、規模、構成とも室内楽の域を超える立派なもの。 夜更けにモノーラルで聴く古典室内楽の趣きいと深し。


この盤の音源。


この盤と同じメンバーによる映像。第1楽章。レコード録音に比べ積極的かつ緊張感の高い演奏。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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