ミケランジェリ ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番ハ短調


きのうの記事に書いたように、ミケランジェリ・ブレンデル・ポリーニという三人の偉大なピアニストの誕生日が三人とも昨日1月5日。しかも三人の生年が11年ずつ離れているという。これは中々の驚きだ。他のジャンルでいえば、王と長嶋と張本の誕生日が一緒というくらいの驚きと言えばいいだろうか(笑)。 天才かつ鬼才のミケランジェリ(1920-1995)は1995年に75歳で逝去。中庸をいく正統派ブレンデル(1931-)は86歳で健在だが少し前に引退表明。かつてピアノ界の貴公子ポリーニ(1942-)も75歳だ。ポリーニが75歳かあ…こっちもメタボなオヤジになるのも当然だよなあ…とボヤキつつ、今夜はミケランジェリの盤を聴くことにした。ミケランジェリといえばドビュッシーかブゾーニ編バッハ「シャコンヌ」でもと思ったが、今夜はきのうのブレンデルと同じ曲、ジュリーニと協演したベートーヴェンの協奏曲第3番を選んだ。ちなみにABMという文字を見て、アルトゥール・ベネディッティ・ミケランジェリと読むようなら、そこそこのクラシックオタクだ。


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この盤は1979年テレビ収録用のライブ録音で、カルロ・マリア・ジュリーニ指揮ウィーン交響楽団をバックにミケランジェリがベートーヴェンの3番と5番の協奏曲を弾いている。手持ちの盤は10年程前に出た廉価盤。もともとクライバーと全集を作る計画があったのようだが、それが頓挫し、ミケランジェリと付き合いの長いジュリーニがあとを受け継いだとのこと。しかも第3番についてミケランジェリは発売を渋っていたという。
第3番はベートーヴェンの5つのピアノ協奏曲中では4番と並んで、もっとも美しい歌にあふれた曲だ。第1楽章のハ短調主題が静かに始まる。ジュリーニは晩年かなり遅いテンポをとるようになったが、この盤が録られた頃はまださほどではなく、中庸のいい感じのテンポだ。オケの音はどっしりとしていて、テヌートを効かせたフレージングで歌っていくが、イタリア人気質というべきか、音楽は重くなく、ところどころのアクセントや強弱のギアチェンジもうまい。続いて決然と入ってくるミケランジェリのピアノ。ぼくはピアノの音色感には鈍感なのだが、この盤で聴くミケランジェリのタッチは素晴らしい。メゾピアノ以下の音量での音のコントロールが抜群だし、レガートとスタカートの切り替えもまったくスムースで効果的だ。

録音場所は明記されていないが、ウィーンのゾフィエンザールかムジークフェラインだろうか。オケの特に弦楽器の響きが美しく録られている。木管がもう少しブレンドしてほしいとことだが、ライブゆえのマイクセッティングの制約もあったのだろう。曲は第2、第3楽章とジュリーニの指揮のもと、ややゆったりと、しかし緊張感をもって進む。ミケランジェリのピアノもエキセントリックな解釈はなく、ジュリーニとウィーン響のバックにのって終始余裕のある響きで、完璧かつ丁寧な演奏を繰り広げる。特に第3楽章は室内楽的ともいうべき精緻さで、この曲の持つ美しいメロディーが際立つ。最後のコーダ、ハ長調プレストになって駆け抜けるが、その際もオケ、ピアノとも終始響きのバランスを失わず美しい演奏だ。

このミケランジェリやジュリーニ、あるいはポリーニやチェリビダッケなど、陽気で明るいイタリア人というイメージからは想像しがたい精緻で考え抜いた演奏をする連中もいるものだと、彼の国イタリアの懐深さに感心する演奏でもある。


この盤の音源。


この盤と同じコンビ。ミケランジェリ・ジュリニーニ&ウィーン響。CDの音源となったテレビ放映時のライヴかどうかは定かでない。音はモノラルで音質もよくない。映像を観ると、会場はムジークフェラインのようだ。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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