カサドのチェロ



きのうの記事に書いた70年代廉価盤の雄<コロンビア・ダイヤモンドシリーズ>はぼくら世代のクラシックファンにはやはり思い出深いアイテムのようで、さっそく「チョ~懐かしい~!」とコメントがあった。今から40年以上前の当時、LPレギュラー盤は二千円。廉価盤が千円で出て大いに人気を博した。しかし考えてみると高校生のバイトが一日千円の時代。一日働いて廉価盤LP1枚分。今なら高校生が一日バイトすれば六、七千円というところだろうから、新譜のレギュラーCDは3枚。ハイドン交響曲全集のボックスセットもOKだ。レコード、CDは鶏卵並みの物価の優等生ということか。 さて、そんなことを考えつつ、手元にあるダイヤモンドシリーズからこんな盤を取り出した。


201701_Cassado.jpeg  201701_Cassado_Haydn.jpg


スペインのチェリスト;ガスパール・カサドによるハイドン、ボッケリーニ、ヴィヴァルディのチェロ協奏曲を収めた盤。きのうの記事同様70年代初頭に出ていた日本コロンビア廉価盤シリーズの中の1枚だ。これはその当時買ったものではなく、十年程前に大阪・梅田の中古レコード店で数百円で拾ってきたものだ。ほとんど新品といえるほどジャケットもピカピカ、盤面もまったくきれいで40年以上前のものとは思えないノイズレスの音が楽しめる。

カサドというと時代的にはカザルスの影に隠れたり、他の多くのチェリストの中にあって演奏者として格別の人気を誇ったとはいえない。むしろ作曲や編曲などで名前が知られているかもしれなし、何より日本人ピアニストの原智恵子を伴侶としたことの方が耳目を引く(玉川学園のこちらのサイトに詳しい)。また、同じスペインということでセゴヴィアとも交流があり、この盤にも収められているボッケリーニのチェロ協奏曲をギター用に編曲したことでも知られる。

さて米VOX原盤のこのレコード。A面のハイドンからして何とも優雅で大らかな演奏だ。ゆったりとしたテンポ、大きく歌うチェロ、バックを務めるヨネル・ペルレア指揮バンベルク交響楽団もカサドの指揮に合わせるように急がず、騒がず、穏やかに曲を進める。ハイドンの曲としてはもう少し溌剌とした生気があってもいいように思うが、これはまさにカサドの風格を聴く盤だろう。ヴィヴァルディのホ短調の協奏曲は荘重な第1楽章で出しからカサドのそうした持ち味がピタリと合って素晴らしい出来だ。ボッケリーニもハイドン同様、一音一音を慈しむような弾きぶりだ。ハイドンとほぼ同時代を生きたボッケリーニだが、この演奏で聴いているとハイドンよりもややあとの時代の音楽に聴こえてくる。演奏スタイルで曲の持ち味が変化する好例かもしれない。現代的な視点でみれば、カサドのチェロは技量にいささか問題有り、演奏スタイルも一時代前のものということになるのだろうが、そうした成績表の○×だけで音楽の良し悪しが決まるわけではないところに音楽の意味深さがある。この盤は演奏家の風格とか味わいといったものの存在を改めて教えてくれる。


カサドの演奏。ヨハン・シュトラウスのアレンジもの


もっともよく弾かれるカサド作品の一つ<愛の言葉> カサド自身による演奏。


やはりカサドの作った小品<セレナーデ>



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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