チャイコフスキー交響曲第2番ハ短調<小ロシア>



音楽とその地域性や風土、季節性を強く感じるものとそうではないものとがある。例えばぼくの場合、チャイコフスキーやシベリウスを聴くのは圧倒的に冬の期間が多い。あるいはブラームスの弦の主題を聴くと秋の深まりを感じる。今年も冬がやってきて、そしてぼちぼちお別れだ。ゆく冬を惜しみつつ、今夜はこんな盤を取り出した。


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モーリス・アブラヴァネル指揮ユタ交響楽団によるチャイコフスキー交響曲全集。70年代初頭の録音。6曲の交響曲の他、主要な管弦楽曲がCD5枚に詰め込んである米ヴァンガードの廉価盤ボックスセット。十年近く年前に隣り町のTWRで投げ売られていた。その中から第2交響曲ハ短調を取り出し、先ほどから少し大きめの音量で聴いている。

アブラヴァネル(1903-1993)とユタ交響楽団によるこの全集は中々個性的だ。まずマルチマイク方式と思われる録音が異様なほどリアル。オンマイクでとらえられた各パートの音が明瞭に分離する。このパートがこんな音形を奏でていたのかという発見が随所にある。わずかな音程の狂いやアインザッツの不揃いもはっきりと聴き取れてしまう。そういう意味では、ソファに深く腰かけて、ゆったりと遠めに展開するオーケストラサウンドを聴くという感じではない。むしとその対極だ。これがアメリカ的といえばいえなくもない。アブラヴァネルの解釈も基本はオーソドクスだが、フレーズはやや短めに切り上げて歯切れがいいし、各パートの出入りをはっきりと提示する。

第2番ハ短調<小ロシア>は後期の4、5、6番やそれらに次ぐ人気の第1番<冬の日の幻想>などに比べるといまひとつパッとしない。演奏時間は35分と、楽曲としての規模もチャイコフスキーあるいは他の同時期の交響曲と比べると小さい。ウクライナの旧称あるいは蔑称としての<小ロシア>の名が付いているように、第1楽章冒頭のホルンソロをはじめ、楽曲の主要主題にウクライナ民謡が使われている。少々盛り込みすぎで散漫な感を否めないが、アブラヴァネルの速めのテンポと粘らない解釈で案外気持ちよく聴ける。この第2番ほか他の曲も、チャイコフスキーの「最初の1枚」としては必ずしもお薦めしないが、すでに幾多の演奏でチャイコフスキーの交響曲のイメージが出来上がっている向きには、面白く聴ける演奏だと思う。


この盤、アブラヴァネル&ユタ響の音源。


レナード・スラトキンとデトロイト交響楽団による演奏。これはいい演奏だ。冒頭のホルンソロそして木管群のソロもうまい。以降もスラトキンの巧みなコントロールとそれに応えるオケのうまさが光る。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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