内田光子のモーツァルト第23番



プレミアムフライデーとか。かつての花金の焼き直し…だよね。花もプレミアムも縁のない地味な勤め人人生。本日もしっかり定時まで業務遂行いたしましたよ(^^ ところで先日、2011年に続いて二回目となる内田光子グラミー賞受賞の報。そのうち彼女の原点とでもいうべきモーツァルトを聴こうと思いつつきょうになった。


201702_UCHIDA_WAM.jpg


取り出したのは80年代にジェフリー・テイトと組んで完成させたピアノ協奏曲全集の中の1枚。22番と23番が収録されている(現役盤はカップリングが変わっている様子)。ぼくの手元にある内田光子のアルバムはわずかに数枚。実演にも接していないし、彼女の演奏を語る資格もなく、ここは淡々と先入観無しにモーツァルトの音楽を楽しもうか。

この盤に収録されている22番と23番はセットで作曲されたとのこと。実際、オーボエに代ってクラリネットを使っている編成、第2楽章の緩徐楽章を短調にしている構成など共通点がある。22番は三つの楽章合せて35分を超える堂々とした構成。第1楽章はトランペットとティンパニを伴った典礼的な雰囲気で始まる中々華やかな楽章だ。途中には木管群による美しい掛け合いもあって楽しめる。第3楽章は典型的なロンド楽章。演奏時間12分と比較的長いロンドだが、展開と管弦楽の妙で飽きさせない。

23番は24番ハ短調のコンチェルトを並んで傑作の誉れ高い名曲だ。22番の華やかな曲調から転じて、第1楽章は弦楽中心の落ち着いた響きで始まる。編成上トランペットとティンパニを含まないことも落ち着いた曲想の要因だろう。第1楽章冒頭のE~C#の音形は、この曲の他クラリネット協奏曲、クラリネット五重奏曲の開始モチーフと同じとWikipediaで知ってなるほどと合点。調性も同じイ長調だし、この協奏曲でもクラリネットが活躍する点も共通だ。第2楽章、シチリアーノ風の嬰ヘ短調楽章も短いながら冒頭から弦楽群の繰り出すフレーズが切々と歌われ、ときにショパンを思い浮かべるようなロマンティックな表情すら見せる。聴き進めているいるうちに、この曲が18世紀終盤の古典派の楽曲であることを忘れてしまいそうになる。

内田光子のピアノの音色は美しく、以前取り上げたショパンのアルバムでみせた積極的な表現よりは、穏やかに曲に寄り添うように弾き進める。テイト指揮イギリス室内管弦楽団はもちろんピリオドスタイルではなく、オーソドクスなアインザッツと深みのある響きが心地いい。デジタル録音も定着した80年代後半のフィリップス録音。ピアノとオケがよくブレンドしながらもクリアな響きを失わない録音も二重丸だ。


この盤の音源。傑作第23番全曲。11分23秒から始まる第2楽章アダージョ。8分の6拍子でピアノがテーマを提示し、12分18秒からヴァイオリンと木管群がユニゾンでそのテーマを歌い上げる。12分35秒から45秒にかけての和声の移ろいが素晴らしい。低弦群の下降半音階進行が意味深く響く。



★★追伸★★
ブログランキングポイントは下降傾向。引き続き、下記のバナークリック<一日一打>のほど、お願いいたします。
■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

モーツァルトのイ長調。

私にクラシックの楽しみを教えてくれた先輩が、23番とクラ協とクラ5重は
雑駁にいうとイ長調でできてるんだよ。とのたまった。
A管のクラリネットがあることさえ知らなかったので、
それから23番とクラ協とクラ5重はお気になりました。
23番はハスキルのを一時期聴いていました。
モーツァルトはどこを切ってもモーツァルトですが、
それだけに、時々ブームが来るくらいが私にはちょうどよく、
久しぶりに23番を聴いたなという気になりました。
テイト&内田盤、なかなかいい流れでいい演奏ですね。

Re: モーツァルトのイ長調。

mobuさん、こんばんは。
そうですね、いずれもシャープ3つのイ長調で弦楽器は伸びやかな音が出しやすい調性だと思いますし、クラリネット吹きにとってはバイブルのような曲だと思います。この盤は演奏、録音、そして22、23番という組み合わせもよく、昨晩聴いてあらためて感じ入りました。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
09 | 2017/10 | 11
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
リンク
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)