クレンペラー&バレンボイムのベートーヴェン



日の記事でクレンペラーの<イタリア>を取り上げたあと、やっぱクレンペラー、ええなあ…と、彼の盤をポツポツと聴き直している。といっても、手元には彼の長いキャリアのうち晩年にあたる60年代のステレオ録音が少々ある程度だが、そのいずれもが素晴らしく、余人をもって代えがたいとはこういうことをいうのかと、感心するばかりだ。そんな中から、今夜はこんな盤を取り出した。


201703_Klemperer_Baremboim.jpg


ダニエル・バレンボイム(1942-)がオットー・クレンペラー(1885-1973)と組んで録音したベートーヴェンのピアノ協奏曲全集。1967、68年録音。手持ちの盤はクレンペラー&(ニュー)フィルハーモニア管による同じベートーヴェンの交響曲全曲とパッケージされたもの。ピアノ協奏曲全5曲と合唱が入る作品80の幻想曲、交響曲の方は全9曲の他、序曲が数曲と大フーガ(作品133のアレンジ)が収録されている。2000年頃、EMIのボックスセットが大量に出たときのもの。数年前に閉店してしまった隣り町TWRのワゴンセールで買い求めた。

先週末、第3番ハ短調、第4番ト長調を聴き、今夜また第3番を取り出して聴いている。
ピアノ協奏曲だからピアノが主役なのだろうが、その前にまずクレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア管の奏でるオケパートに耳がひきつけられる。対向配置のオケの響きはおそろしく透明で、大編成にも関わらず音の混濁がまったくない。左右に配された第1・第2ヴァイオリンの掛け合い、左奥から意味深く響くコントラバス、それらにのって明瞭な木管群が適度な距離感で中央奥に広がる。過剰なエコーがのらないEMIアビー・ロード第1スタジオでのセッションの様子が目に浮かぶようだ。

クレンペラーの解釈は遅めのテンポではあるが、オケの音響が清涼であるがゆえに鈍重さはない。またフォルテも余裕を残して響かせるためか、うるささを感じない。第3番が始まってバレンボイムのソロが出てくるまでのオケの序奏だけで完全に脱帽ものの素晴らしさだ。録音当時まだ二十代のバレンボイムはクレンペラーの指示だろうか、ほとんどインテンポを崩さず楷書の趣き。音色も透明感に満ちている。巷間の評価でものちの再(再々)録音よりも、このクレンペラーとの録音を推す向きが多いのもうなづける。この盤を聴いたあとで、ブレンデルとレヴァイン&シカゴ響の盤を聴いてみたのだが、レヴァイン指揮シカゴ響のあまりに無神経かつ粗野な演奏に、ブレンデルのピアノが出てくる前にプレイヤーのストップボタンを押してしまった。やはり格違いのクレンペラー。そしてその胸を借りて、若いながら落ち着いた弾きぶりのバレンボイム。ピアノだけ考えるとおそらくもっと達者な弾き手はいるだろうが、それを補って余りあるオケパートの素晴らしさが光る名演だ。十分現役の録音状態共々、今もってこの曲の代表的録音といっていいだろう。


この盤の音源。第3番・第1楽章前半。終了後、後半が続く。


第3番ハ短調。手兵シュターツカペレベルリンを弾き振りするバレンボイム。2005年65歳の誕生日の演奏とのこと。



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3番サード長嶋ではなく。

3番の協奏曲を初めて聴いたのは、1台のピアノで、4手の連弾版で、
アマチュアの音楽教室の発表会で演奏されたのを聴きました。
弾き手は知り合いの女性でしたが、こんな曲弾くんだーと驚いたもの
でした。その時は1楽章のみでしたが、ハ短調の主題が耳に残りました。
その後オケ版も聴くようになったのですが、このハ短調の主題は
個人的にいいですね。
バレンボイムと言えばピアノも指揮も達者な方ですが、65歳でも
指は回るし安定していますね。久々、3番聴きました。

Re: 3番サード長嶋ではなく。

mobuさん、こんばんは。
ベートーヴェンのP協では、この第3番と次の第4番をよく聴きます。第5番はほとんど聴きませんね。モーツァルトの同じハ短調第24番にインスピレーションを得たそうですが、いずれ劣らぬ名曲だと思います。
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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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