マルケヴィッチのロシア物



週末金曜日の昨晩、ブログ記事を書きながら<夜食テロ>を迎撃しているうちに記事をアップするのを忘れてしまった。少々間抜けだが、あらためてアップしよう。先日来の流れで今夜もしつこくロシア音楽。


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音盤のジャンルとして管弦楽小品集というものがある。腕利きの指揮者やオーケストラが、その実力のほどを示すために管弦楽曲を何曲か収録することが多い。ポピュラー小品を集めたもの、オペラの序曲や間奏曲を集めたもの、国単位でまとめたドイツ管弦楽曲集、フランス近代管弦楽集といった感じだ。当然ロシア管弦楽集というものもある。お国物ということでロシアの指揮者、オーケストラの盤が多いのは当然だが、それと並んでフランス系の指揮者、オーケストラの盤が多い。近代ロシアの管弦楽曲が色彩的な管弦楽手法を駆使していることから、フランスの系譜に通じるのだろう。かつてのアンセルメ&スイスロマンド管弦楽団、英デッカがアンセルメの後継者として売り出したデュトワ&モントリオール響、そして今夜取り上げるイーゴル・マルケヴィッチがラムルー管弦楽団を振った盤が思いつく。マルケヴィッチ(1912-1983)はウクライナのキエフ貴族家系の出だ。幼いときにパリへ出たので、この盤のように仏系オケとの協演も多いが、身体にはロシアの血が流れている。

一目見たら忘れないようなジャケットデザインがある。指揮者マルケヴィッチを正面からとらえたこのジャケット写真も相当インパクトがあると思うが、どうだろう。眼光鋭いようで、実は不敵な笑みを浮かべているようにも見える。一言で言えば、イケてるを通り過ぎてイッてしまっている。50年代終盤の録音。収録曲は以下の通り。

1.歌劇≪ルスランとリュドミラ≫序曲
2.交響詩≪中央アジアの草原にて≫
3.交響的絵画≪ヨハネ黙示録から≫
4.序曲≪ロシアの復活祭≫作品36
5.歌劇≪五月の夜≫序曲
6.組曲≪金鶏≫(4つの音楽的絵画) 序奏とドドン王の眠り
7.組曲≪金鶏≫(4つの音楽的絵画) 戦場のドドン王
8.組曲≪金鶏≫(4つの音楽的絵画) シュマハ女王の踊り-ドドン王の踊り
9.組曲≪金鶏≫(4つの音楽的絵画) 婚礼の行列-ドドン王の死-終曲

ロシア管弦楽集でのお約束通のように、グリンカ作曲「ルスランとルドミュラ」序曲で開始。ムラヴィンスキー&レニングラードフィル盤には及ばないが、切れ味鋭い展開。しかもこの盤は予定調和的には終わらない。途中、一般にはメゾピアノ程度で叩かれるティンパニのフレーズがフォルテで強打されギョッと驚く。次に同じパターンが出てくるときに、二度目は驚かないぜと身構えていると、今度はふっと抜いてピアノで叩く。そのときジャケット写真のマルケヴィッチを見ると、不気味な笑みに見えてドキッとするのだ。3曲目のリャードフ作曲;交響的絵画「ヨハネ黙示録から」は多彩な表現を秘めたいい曲だとあらためて感心した。6分弱の小品だが、曲の後半は弦楽器群、管楽器群が交互に短いフレーズでクレッシェンド・ディクレッシェンドを繰り返しながら進行し、一聴してマーラー交響曲の一節かと思うほどだ。他の収録曲、リムスキー・コルサコフの序曲「ロシアの復活祭」や歌劇「五月の夜」序曲、組曲「金鶏」もオーケストラの機能と多彩な音色を駆使して聴き応え十分。マルケヴィッチは色彩的なこれらの曲を明晰に描き出す。もう少し演奏される機会があってもいいように思う。

この盤のマイナスポイントを挙げるとすれば録音状態だろうか。マルケヴィッチの意図なのか録音セッションの条件(複数のホールで収録されている)なのか不明だが、低音が薄く中高音が張り出した音響バランスで驚く。中高音が勝っているため各楽器間の分離はよく、確かにマルケヴィッチの分析的な曲の組立と意図が一致しないでもない。録音エンジニアのクレジットがないで不明だが、フランス人の音響バランスはこんなものなのだろうか。60年代前後の低音の充実したドイツグラモフォン録音とは思えない音作りだ。このCDは2006年に「マルケヴィッチの芸術」と称して発売されたシリーズ中の1枚。マルケヴィッチは音盤セールス上マイナーな存在かもしれないが、指揮者としての実力、楽曲の分析力など極めて高く評価されていて、このロシア管弦楽名曲集でもその実力のほどが垣間見られる。


ボロディン<中央アジアの平原にて> 下のグリンカもそうだが、手持ちの盤とは音響バランスがかなり違う。マスタリングの異なる音源なのかな…


グリンカ<ルスランとリュドミラ序曲>


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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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