イヴリー・ギトリス in 高崎



暫時休止…なんて大げさなことを言っておきながら、一週間でのこのこ復帰。 ちょっと早すぎるかな…(^^; 更新なき間もアクセス、拍手、ランキングバナークリック等いただき恐縮至極。引き続きよろしくお願いしますね。


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さて、少し前の記事に書いた通り、きのう23日はイヴリー・ギトリスのコンサートへ。90歳を越えてなお毎年のように来日しているギトリス。今回は別府でのアルゲリッチ音楽祭にあと当地群馬、そして今週末東京での三公演とのこと。今年8月には95歳を迎えるギトリスの今を聴こうと脚を運んだ。

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ヒンデミット/ヴァイオリンソナタ 変ホ長調 作品11-1
ベートーヴェン/ヴァイオリンソナタ ヘ長調 作品24 「春」
 ―休憩―
パラディス/シシリエンヌ
クライスラー/シンコペーション
成田為三/浜辺の歌
モーツァルト/ヴァイオリンソナタ ホ短調 K.304
クライスラー/ウィーン小行進曲
チャイコフスキー/なつかしき土地の思い出より
ドヴォルザーク/わが母の教えたまいし歌
クライスラー/美しきロスマリン
~アンコール~ タイス/瞑想曲
(休憩後の曲はプログラムに記載はなく、イヴリスがステージ上で曲目紹介しながら進んだ)
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ヴァイオリン:イヴリー・ギトリス
ピアノ:イタマール・ゴラン
2017年5月23日(火)19:00~ 高崎シティーギャラリーコアホール
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身近に90歳を超えた人がいる方はお分かりだろうが、90歳を超えてなお元気であっても、さすがにこの年代での半年、一年の変化は大きい。ぼくは2014年にギトリスを聴く機会があったのだが、今回の演奏を聴いて、やはり三年間の年月は大きいと感じざるを得なかった。音は小さく、しばしばかすれ、音程も不安定になりがち。特にヒンデミットのような予定調和的な調性感と機能和声だけではカバーしきれない曲になると(作品11-1のソナタは調性感の強い曲ではあるが)、不安定な音程を聴き手のイマジネーションでカバーし切れなくなる場面があった。

期待が大き過ぎたか…そう思いながらヒンデミットが終わり、曲がベートーヴェンになった辺りから、少し様子が変わってきた。愛器ストラディバリウスから放たれるかすれがちで小さなその音に不思議な浸透力を感じるようになってきたのだ。単に耳が慣れたということだけではなく、力ずくで楽器を鳴らしたときとは明らかに違う、浮遊感のある音が、こちらの耳と心をひきつける。音量は小さいのだが、フルサイズのピアノにまったく負けずに音が通ってくる。聴き手側の耳と心がギトリスの弾く手元に吸い寄せられるかのように感じる。後半の小品プログラムでは、ギトリスの自在な歌いっぷりも加わって、まったく不足感のない音楽が響いてきた。 ぼくはギターしか弾かないが、プロ・アマ問わず、音量を稼ごう、感情を込めようと、強いタッチで弾けば弾くほど、その楽器が本来もつ豊かな響きが失われる場面がしばしばある。楽器から生み出される倍音成分を感じながら、音が空間に放たれるイメージをもって弾くと、小さな音でもあっても弱さはなく、十分聴き手に浸透する音が出ることは経験しているが、ギトリスの当夜の演奏はまさにその究極といってもよい音だった。

そしてギトリスのそんな音作りをサポートするイタマール・ゴランのピアノがまた実に素晴らしかった。イタマール・ゴランは庄司紗矢香のアルバムで知ってはいたが、実演は今回初めて。イヴリスの自在な歌いっぷりにぴたりと寄り添うのはもちろんのこと、ダイナミクスやアーティキュレーションのコントロールがこれ以上ないくらいに完璧で、ピアノパートも雄弁に聴かせてくる。ピアノ伴奏を聴くだけでどういう音楽を作ろうとしているのかが明確にわかる。加えて、使用したベーゼンドルファーの最高位モデル290インペリアルの音もまた素晴らしく豊かだった。全域で柔らかな音色、たっぷりとした低域の響き。300席程の当夜のホールで無理なく弾かれて、豊かな響きを伴った音響は、ピアノ演奏のひとつの理想のようにも思えた。

三年前のコンサート同様、ギトリスは椅子に座り、ヴァイオリンのヘッドを譜面台脇の置いた台に添えるようなスタイルで弾いていた。ステージへの出入りはピアニストのイタマール・ゴランの手を借りていたが、曲の合間に軽いジョークや表情豊かなしぐさで会場を和ませるフランクなキャラクターは以前のままだ。ほどなく95歳を迎えるギトリスの至芸に触れ、彼の演奏同様、明るく軽やかな気分で会場を後にした。


クライスラーの<シンコペーション> 当夜の雰囲気もこんな感じだった。



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No title

お帰りなさい。音楽への熱い思いが伝わって来ます。どうぞ、マイペースで続けてくださいね。

Re: No title

しょうむらのりひこさん、まいどどうも(^^

> 音楽への熱い思いが伝わって来ます。

自宅の部屋で一人音盤を聴いていると、とかく傍観者的になってしまいますが、演奏会ではやはり<当事者>になりますね。脳内の刺激される場所が違うように感じます。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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