オーケストラアンサンブル金沢 武満徹 夢千代日記 波の盆 


二月も下旬になって次第に春めいてきている。この時期の生暖かい陽気は実は好きではない。桜でもパッと咲いてしまえば観念するのだが、これからのひと月ほどが一番いけない。何とも憂うつな気分になる。そして音楽もときに内省的な響きを聴きたくなる。


武満徹 夢千代日記 波の盆 オーケストラアンサンブル金沢   DSCF7168.jpg


週初めの今夜もそんな気分になり、ふと武満徹の作品、それも映画音楽とテレビドラマの付帯音楽を収めた盤を取り出した。演奏しているのは生前親交の深かった岩城宏之が振るオーケストラアンサンブル金沢。収録曲は以下の通りだ。

(1) 海へ2
(2) ア・ウェイ・ア・ローン2~弦楽オーケストラのための
(3) 雨ぞふる~室内オーケストラのための
(4) トゥリー・ライン~室内オーケストラのための
(5) 訓練と休息の音楽~「ホゼ・トーレス」より
(6) 葬送の音楽~「黒い雨」より
(7) ワルツ~「他人の顔」より
(8) 波の盆~オーケストラのための
(9) 夢千代日記

前半の(1)から(4)までは独立した作品として作られたもので、いずれも武満徹の精緻で透明な響きに彩られた現代作品だ。現代曲ではあるから、ときに不安や割り切れない感情を複雑なフレーズの綾で表出することはある。しかしそれが最後まで続き、聴き手を突き放すということない。いくつかの曲では最後の響きは調性感のある調和をもって終わる。
後半の(5)から(9)は映画音楽やテレビドラマの付帯曲として作られたもので、いずれも稀代のメロディーメーカーでもあった武満の側面が存分に楽しめる。スウィングするブルースフレーズが印象的な(5)、悲哀に満ちた(6)、一気に懐かしい郷愁に引き込まれる(7)、いずれも素晴らしい。(8)波の盆はメジャー・キーにのせて温かく幸せなメロディが歌われる。そして80年代前半に吉永小百合の主演で人気となったNHKドラマ夢千代日記のテーマ(9)。ぼくも何本かをテレビで観た記憶がある。山陰の芸者屋の女将を彩る物悲しいメロディーが心を打つ。

生暖かく憂うつな春の宵にさらにそれを助長するような音楽を聴くのはいささか自虐的かもしれないが、これもまた音楽を聴く楽しみの一つだ。そしてこんな日の翌日には、反動でストラヴィンスキーの「春の祭典」を聴きたくなったりする。さて、明日はどうだろう。

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マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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