テンシュテット&BPO ワグナー管弦楽曲集



先日のカラヤン<指環>抜粋盤の記事中、ワルキューレのYOUTUBE音源を貼った部分で、ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウのヴォータンと書いたが、正しくはトーマス・ステュアートのヴォータン。実はこの盤、<ラインの黄金>と<ワルキューレ>でヴォータンの配役が変わっていることを見落としていたのだ。さる同好の輩よりご指摘いただいた(多謝!)。 さてさて、今宵の音盤タイム。今夜も先日来の流れで歌物をと思ったが、ふと音盤棚の隅にこんな盤を見つけて取り出した。


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クラウス・テンシュテットとベルリンフィルによる<歌なし>ワグナーアルバム。1980~83年録音。手持ちの盤は十年程前に廉価盤で再発されたときのもの。収録曲は以下の通り。

<ディスク1>
1. 楽劇「ワルキューレ」~ワルキューレの騎行
2. 楽劇「神々の黄昏」~夜明けとジークフリートのラインへの旅
3. 楽劇「神々の黄昏」~ジークフリートの死と葬送行進曲
4. 楽劇「ラインの黄金」~ヴァルハラ城への神々の入城
5. 楽劇「ジークフリート」~森のささやき
6. 楽劇「ワルキューレ」~ヴォータンの告別と魔の炎の音楽
<ディスク2>
1. 歌劇「タンホイザー」序曲
2. 歌劇「リエンツィ」序曲
3. 歌劇「ローエングリン」~第1幕への前奏曲
4. 歌劇「ローエングリン」~第3幕への前奏曲
5. 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」~第1幕への前奏曲

ディスク1の<指環>抜粋編も魅力的だが、今夜はディスク2に序曲・前奏曲編をプレイヤーにセットし、プレイボタンを押した。 タンホイザー序曲が木管のアンサンブルで静かに始まる。ゆったりとしたテンポで木管群がテーマを吹き終えると弦の副旋律が絡んでくる。そして迎える最初のクライマックス。ここまで聴いただけでテンシュテットとベルリンフィルとのこの演奏の素晴らしさに納得する。遅めのテンポ設定、息の長いフレージング、深いアインザッツ、いずれもがワグナーの演奏に相応しい。後年、カラヤンの跡を継いた某指揮者によって骨抜きにされたと揶揄される以前のベルリンフィルの音が堪能できる。分厚い弦の響き、よく溶け合う管楽器群、ここしかないという絶妙のタイミングで入るティンパニーの一打。いずれもドイツの権化;ワグナーの演奏に相応しい。EMIの技術陣もデジタル録音の場数を踏んだためか、アナログ期からデジタル期への移行時期に録られた同じテンシュテットのマーラー全集に比べると混濁感が少なく、ずっとよい録音だ。続く「リエンツィ」序曲。もちろんこの曲自体は昔から知ってはいたが、テンシュテットの演奏によって初めてこの曲の魅力が分かったといってよい。この演奏も前半の抑えた表情とゆったりとしてテンポ、そして後半のエネルギッシュな前進との対比が素晴らしい。金管群が吹くフレーズごとに内在するエネルギーがどんどん膨れ上がり、それが最後に爆発的にほとばしる。トライアングルが入って突進する大団円も決して軽くならず重量感を保ったままだ。

腕利きの指揮者とオーケストラの多くがワグナーの管弦楽集を録音する。フルトヴェングラー以来、幾多の名盤があって、手元にも十指を下らない盤がある。しかし、どれか1枚と言われたら、今なら迷わずこのテンシュテット盤を推すだろう。


1988年のロンドンフィルとの来日公演時の一連のワグナー・プログラムから<リエンツィ序曲>。ベルリンフィルとのCDに劣らず素晴らしい演奏。開始から1分20秒過ぎ、低弦群が断続的な音形を繰り返しながら進み、1分40秒過ぎで主題が確立する。もうここで参ってしまう。そこからおよそ1分間弦楽群が主題を奏でる。コンマスがネックを上げて感じ入ったように心を込めて弾いている。3分20秒あたりから金管群の寄せては返す繰り返しで盛り上がり、3分45秒でトゥッティで主題が確立。4分2秒、ティンパニの一打も絶妙のタイミングだ。4分20秒あたりからの弦の装飾音風の音句を強めに響かせ、金管群の奏でる主題と有機的に調和していく。…と、こんな風に聴いていくと音楽的感興に満ちあふれた12分間があっという間に過ぎる。テンシュテットはこのときすでに咽頭癌に侵されていた。前年には休養と取っているほどの状態だったという。額の汗そして終演直後の表情からは演奏を終えた喜びより、本当に辛そうな表情が見て取れる。まさに身を削っての演奏だったのだろう。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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