なんちゃってトルナボス
関東地方はきのうきょうと、一気に秋の風が吹き抜けた。陽射しは強く、日中の気温は28度を超えたが湿度低く快適。このまま残暑もなく夏が終わるとは思えないが、心地よい涼風に安堵に一日だった。 さて、きょう昼過ぎにギターを弾こうかと、久々にラミレスを取り出すと、なんと1弦が切れている。夏の間、ほとんどケースから出さずにいたのが影響したのかもしれない。ひとまず切れた1弦だけ交換…と、そのときふと思い出し、こんなものを取り出した。








アコースティック・サウンド・エンファンサー<O-Port>なるアイテム。名古屋の楽器商社キクタニが数年前から扱っている。ギター愛好家にはすでにご存知の方も多いだろう。どちらかというと、いわゆるアコギ向けに相応の人気があるアイテムのようだ。クラシックギター弾きには、着脱可能な樹脂製<トルナボス>といえば理解が早いだろう。
トルナボスについてはすでに様々な情報が流布されているので説明は不要だろう。ぼくも十年以上前に興味をもって、硬めのボール紙(紙テープの芯など)を使ってにわか工作をトライしたことがある。トルナボスの効果については様々に言われているが、もっとも顕著なのが低音の増強、あるいは低音ウルフトーンの引き下げだ。オーディオスピーカのバスレフレックスの原理と同様の機能・作用ともつと考えれば分かりやすい。トルナボスは100年以上前から知られ、昨今の新作でもトルナボス付きモデルを作る製作家もいる。一般には木材あるいは金属板などで円筒状に作られ、ギターのサウンドホール内部に装着される。構造に工夫を凝らして着脱可能なものもある。昨年のちょうど今頃、イギリスの製作家:デイヴィッド・ホワイトマンのトーレスモデルの新作を紹介され試奏したが、それには木製の着脱可能なトルナボスが付属していた。この樹脂製O-Portなる商品は比較的柔らかい樹脂で出来ていて、写真のように折り曲げながらサウンドホールに挿入して装着する。ギター本体に加工は不要で、いつでも取り外せる。今回はその魅力的な中高音に比して、低音域がやや弱いラミレスに装着して、その弱点を補正できるかという試み。
弦を緩めてO-Portを強引に折り曲げてサウンドホールの挿入する。O-Portには大小二つのモデルがあって、クラシックギター用は小ということになっているが、一般的なクラシックギターのサウンドホール径85mm前後には小でも少しきつい。ぼくの場合もO-Portに施されている指板部分の切り欠きを少し加工して、事なきを得た。いったん装着すると樹脂の弾力で保持され、しっかりとした印象で、演奏中に外れたり、ずれたりする心配はない。
さて肝心の音やいかに…
当初の目論見通り、低音は確実に増強される。ぼくのラミレス1aのウルフはA付近にあるが、それがF#~G辺りにまで下がり、弾き手のお腹にドスンと響くような低音になる。田邊雅啓ロマニリョスモデルやオルディゲスのような、かつてのスパニッシュ系をイメージさせるドッスン低音に近くなる。一方高音は、ラミレスが本体もつ艶やかで張りのある音がかなり減衰し、音が胴の内部にこもるような響きになる。人によっては、このくらいのややくすんだ響きの高音が好みという向きもあるかもしれないが、もともとラミレスがもつ中高音のイメージを変えずに、低音だけ増強したいという目論見からは遠い結果となった。
先に記した通り、このアイテムを手に入れたのは数年前、確か2010年頃。もちろん手に入れてすぐ試してみたが、そのときの印象は今回の印象と同じ。以後、ときどき思い出したように、今度は違って聴こえるかもしれないと思いつつトライするが、どうやら印象変わらずという結論だ。2000円ほどで買えて、ギター本体に影響なく着脱可能という辺りに商品価値あり。すべてがプラス方向に変化する保証はないが、自分の楽器の音響イメージをちょっと変えてみたいという向きには、トライする価値があるかもしれない。
さて、このお兄さんの塩梅はいかに…
このお兄さんがこの商品の考案者だそうだ。
★★追伸★★
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