ディッタースドルフ・シンフォニア集
きのうからきょうにかけ、この秋一番の寒波到来。北日本を中心に大荒れ。当地でも陽射しはあったものの気温上がらず。終日暖房ONの一日だった。あすは更に寒くなるらしい。落ち着いて秋を楽しむ間もなく冬になってしまうのか…。 さて、週末土曜日。いくつか野暮用こなして一日終わり、夜半のひととき。あまりややこしいことを考えずに楽しもうと、こんな盤を取り出した。

ウィーン古典派の重鎮ディッタースドルフによるシンフォニア集。この手の落穂ひろい的レパートリーの発掘では最右翼のナクソスレーベルの1枚。演奏はハンス・ペーター・グミュール指揮ファイローニ管弦楽団。ファイローニ管はハンガリー国立歌劇場の選抜メンバーによる団体のようだ。1995年録音。
ディッタースドルフ(1739-1799)はハイドン(1732-1809)、モーツァルト(1756-1791)らと同時代にウィーンを中心に活躍した(こちらの年表参照)。何でも、ハイドン・モーツァルト・ヴァンハル・ディッタースドルフの4人で弦楽四重奏を弾いたという記録もあるらしい。ナクソスのこの盤には、オウィディウスの『変身物語』をテーマにした6つの交響曲(シンフォニア)のうち1番から3番が収められている。オウィディウスの『変身物語』がどんな物語で、これらの曲のどこと関係があるのか、寡聞にして不案内である。が、そうややこしいことを言わずとも、ウィーン古典派の典型的な響きを楽しめばそれでよしとしよう。いずれも4楽章形式ではあるが、標題にはシンフォニアとあり、ハイドンによって完成をみる古典的な交響曲への過渡期の形式といえる。曲はいずれも古典的な様式感に満ち、充実した響きだ。特に第1番の第1楽章ラルゲットや第2楽章アレグロ・エ・ヴィヴァーチェなどは、ハイドンもかくやと思わせるほど完成度が高い。テーマそのものが魅力的だし、その扱いも適度な緊張感を持つ。第2番は「変身物語」のイメージが盛り込まれいるのか、メルヘンチックなテーマがたびたび現れ、第1番より標題的な作りを感じさせる。一方でシンフォニックな魅力は第1番に譲る。第3番は、通常は終楽章に現れるようなロンド風の主題で開始。時折短調に転調して緊張感を感じさせるが、全体としては軽快で穏やかな曲想だ。
当時のウィーンには職業作曲家が数百人いたらしい。彼らの手になるこうした古典期作品が、山ほど作られ、演奏され、そして多くがそのまま消えて行ったのだろう。モーツァルトやベートーヴェンの天才性・革新性は素晴らしいが、ディッタースドルフ、ヴァンハル他、職業作曲家の手馴れた手法で書かれた典型的な古典様式の曲は、革新性では一歩譲るにしても、当時の響きを安心して再現してくれて、飽かずに楽しめる。
第1番ハ長調
ディッタースドルフといえばこの曲が一番有名だろうか。コントラバス協奏曲。ちょっと珍しいマンドリンアンサンブルをバックにした演奏。
同じくコントラバス協奏曲。ロンドン交響楽団首席奏者による演奏。さすがに上手い。
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