ギター工房探訪記 <その3> 名古屋編 広瀬達彦/一柳一雄・邦彦 2001


30代・40代のブランクののちギター再開し始めた頃に訪れたギター工房のレポート(もう10年のも前だけれど)。今回は名古屋地区編。広瀬達彦氏と一柳親子の工房を紹介したい。このときは週末金曜日に大阪での仕事を終え、茨木市の松村雅亘氏の工房を訪問。最終の新幹線で名古屋に入って一泊。翌日の土曜日、午前中に広瀬達彦氏の工房を、昼をはさんで一柳氏の工房を訪問した。

<広瀬達彦工房>
近くの地下鉄駅出口まで広瀬氏に迎えに来ていただき市内住宅街にある工房へ。先日紹介した西野春平工房同様に、家の外観はごく普通の住宅だ。二階の部屋が製作ブースになっていた。ご承知の通り父親の代からの工房で、昔から使っている工具類もあって歴史を感じさせる。広瀬氏は終始物静かながらフランクな口調、そして広瀬氏はギター作りの他に生け花をやっていて、それもお弟子さんが多数いる師匠だそうだ。あいにく新作は無かったが、息子さんのために作ったというギターが修理中だったので、それを試奏させてもらった。横裏板がメープル材で出来たもので、太く穏やかな音だった。そんな氏の性格が音にも現れているのだろう。広瀬氏の楽器は現在ギタルラ社でしかみられないのが残念だ。


広瀬達彦氏 @2001   広瀬工房 製作途中の楽器


使い込まれた工具類   父親の代から使っている工作機


<一柳工房>
名古屋から近鉄線にのって少しいった蟹江という駅で下車。駅まで迎えに来てくれた息子さんの一柳邦彦さんの車で工房へ。周囲は名古屋郊外の田園地帯といった風景。ここも一柳一雄・邦彦の2代に渡ってギター製作が続いている。大きな母屋の二階が工作室。大量の材料ストックが目を引く。一時期はかなりの数量を製作していたのだろうか、横板を加工する冶具が何台もあった。息子さんの邦彦氏は訪問当時から現在も、マヌエル・ラミレスやロマニリョスなどの名器を研究して、その成果を自身の製作に生かしているとのこと。マヌエル・ラミレスを模したというギターを試奏したが、低めのウルフトーンでしっかりと鳴る低音、木質系ながら明快に鳴る高音が印象的な素晴らしい楽器だった。

一柳一雄・邦彦親子@2001   一柳工房 製作中の楽器


一柳工房 材料ストック   年代物の加工機や仕掛の表面板など


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広瀬ハウザー

広瀬さんのハウザーモデルは、いい楽器です。
しっかりしたタッチでないと鳴らし切れない・・・
今でも使っています

Re: 広瀬ハウザー

Mazaさん、こんばんは。
広瀬氏のハウザーモデルは、10年ほど前カムバックに当たってギターを新調しようと
思った際、候補の一つでした。ギタルラ社で試奏しようと思ったのですが、あいにく
そのときは在庫がなく、弾けませんでした。
今後機会があったら広瀬ハウザーを弾かせて下さい。

はじめまして

廣瀬ギターから一柳ギターに買い替えで
2001年4月に一柳さんの工房に行きました。

廣瀬ギターも良いけど、さらに良いのが一柳ギターかなぁ
と思ってます。

Re: はじめまして

kimi-hauser644さん

コメントありがとうございます。
廣瀬さんのハウザーモデルを先日来知人から借りて弾いていますが、とてもイイ感じです。
廣瀬さんは体調すぐれず、もう製作していないとのこと。残念です。
一柳ギターは関東では中々出会えませんね。池袋のファナにときどきあるくらいです。

ところでもしかして…その昔十年ほど前、記事に書いた私が一柳工房を訪れた前後にメール交換をしたkysさんですか?

覚えていませんが

KYSは使っていたのでそうかもしれません。
メールは覚えていませんが、
一柳さんのギターが良いと思ったのは2月なので
どうなんでしょう。

覚えていなくってごめんなさい。

廣瀬ギターについて

はじめまして、 藤本と申します。
今からギターを始めようかなと悩んでおります。
知人が、廣瀬達彦さんのギターを譲ってやると言われました。
クラッシックギターのことが全くわからないので、ひとつお尋ねしたいと思い、連絡させていただきました。
廣瀬さんのギターには、NO80とかNO20などの型番のようなものが書かれていますが、これは何なのでしょうか?
因みに知人のギターはNO20でした。

Re: 廣瀬ギターについて

藤本様
初めまして。コメントありがとうございます。
日本の手工ギターの番号表示、No.20 No.50 あるいは30号、80号といった表記は、価格を表わしている場合がほとんどです。No.20や20号は20万円、No.50や50号は50万円…といった具合です。60年代からそうした表記が慣行になっていますね。近年は数字表記をなくし、マエストロ、スペシャルといったモデル名を使うことも多くなりました。ご友人の廣瀬ギターNo.20もそうした内容で、製作当時の価格(定価)設定が20万円ということになります。私が廣瀬工房を訪問した2000年当時は、確かNo.50、60、80というラインナップでした。No.20はおそらく70年代から80年代初頭のエントリークラスかと思います。もしかすると、達彦氏の父君の代の楽器かもしれません。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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