ハイドン 三重奏曲集



穏やかな日曜日。どうしようかと考えていた車の件で近所のディーラーへ。実は先週すでに成約し、きょうは関連する諸手続き。納車まで二か月程度かかるかと思っていたが、思いのほか早く、年内に入るらしい。 帰宅後、ひと息ついて渋茶で一服。昨夜からの放射冷却もあって気温は低いが、当地名物の空っ風もなく、陽射し差し込む室内は程よく暖かい。久々にアンプの灯を入れ、こんな盤を取り出した。


201712_Haydn_Trio.jpg 201712_Haydn_Trio2.jpg



スイスの名門クラヴェスレーベルから出ていたハイドンの三重奏曲を収めた1枚。以前ネットで箱買いした数百枚の中に入っていたもの。1974年録音。まったくのMINT状態で盤質・音質共に極上だ。収録曲はHob.XV:16、XV:17、XV:15の3曲(この盤の表記ではぞれぞれ第30番、29番、31番)。

この盤に収めされている三重奏曲は、ハイドンが60歳になる直前の作品。若くしてエステルハージー家に抱えられ順調な日々を30年近く送っていたハイドンであったが、初老を迎えてもうひと花さかせたいと思っていたらしい。折りよくロンドンのプロモーター:ペーター・ザロモンからの誘いがあってロンドン行きを決めた。有名な後期の交響曲集ザロモンセットはそのデヴューみやげだ。この盤の三重奏はその出発前に書かれたもので、ハイドン自身「…特別なものではなく、退屈の折などにためのごくつまらぬものです…」と書簡に書き付けているそうだ。

実際、ハンマークラヴィーア、フルート、チェロのための三重奏曲を題されてはいるものの、曲の主導権を握っているのはピアノで、チェロはピアノの低音部をユニゾンでなぞる程度に終始している。フルートはかなり重要な役割を担っていて、曲としてはほとんどフルートとピアノのためのソナタ、あるいはフルートオブリガード付きのピアノソナタという感じだ。この盤では名手;ペーター=ルーカス・グラーフがフルートを吹き、イェルク・エーヴァルト・デーラーというピアニストが1820年ブロードマン社製のハンマーフリューゲルを弾いている。 曲はいずれもハイドンの手馴れた手法で古典的な様式感を持ち、肩の凝らない楽曲。ハイドンとしてはロンドン出発前の軽い筆のすさびといったものだったろうが、どの曲も一定以上の水準を保ち、かつ多くの作品を残したハイドンはやはり大したものだとあらためて関心する。


Hob:XV16ニ長調の第1楽章。展開部以降(3分24秒から)が中々面白い。第1主題をイ短調にして始まるが、すぐにホ短調に転じたかと思うと、1小節の休止が入るなど、意表をつく展開が続く。


フルートに代わってヴァイオリンを用いた演奏。Hob:XV16全楽章。コーガン、ロストロポーヴィッチ、ギレリスによるもの。この曲には少々重厚に過ぎる布陣か…いやいや速めのテンポで軽快に進みます。6分40秒過ぎからのニ短調の第二楽章も中々可憐な佳曲。



■ にほんブログ村ランキングに参加中 ■
■↓↓↓バナークリックにご協力を↓↓■
にほんブログ村 クラシックブログ クラシック音楽鑑賞へ
にほんブログ村
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

カレンダー
05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
月別アーカイブ
QRコード
QR
閲覧御礼(2010.10.01より)