ピアソラ<タンゴの歴史>
相変わらず寒い、寒い。けさの関東地方は都心でも内陸の当地並みに氷点下近くまで冷え込んだようだ。近年、暖かい年の瀬というフレーズばかりだったので、寒さMAXの年末の悪くない。と、そんなことを思いながら、きょうも7時ちょうどの帰宅。鍋物つついてホッとひと息。久しぶりにこんな盤を取り出した。


ナクソスから出ているピアソラのフルートとギターのための作品を収めた盤。
ギターソロの<5つの小品>、フルートソロの<タンゴエチュード>、それとフルートとギターのための<タンゴの歴史>が収録されている。中で人気の曲は「タンゴの歴史」だろう。この曲は、ボーデル1900、カフェ1930、ナイトクラブ1960、コンサート現在、の4つの曲からなる。フルートパートはよくわからないが、ギターパートはアマチュア上級なら何とか演奏可能な技巧レベルで、プロ・アマ問わずよく演奏会で取り上げられている。またフルートの他、ヴァイオリンやチェロでソロパートを弾くことも多い。
ボーデル1900は軽快なフルートのパッセージとそれに呼応するリズミックなギターとで曲が進む。カフェ1930は深い抒情をたたえたメランコリックな旋律が印象的かつ美しい。ナイトクラブ1960は速い躍動的な部分と、それと対照的にテンポを落として歌われるメロディーの対比が素晴らしい。中間部、ギターの半音階進行にのせてフルートが奏でる旋律が印象的だ。
90年代になってクラシック音楽は辺境への広がりを見せるようになった。その一つの表れがピアソラの音楽だろう。様々な形態で演奏されるピアソラだが、フルートとギターという組み合わせは珍しい。フルートというと、すこぶるノーブルな楽器というイメージで、辺境の抒情というには少々アクが足らないかと思ったが、どうして中々いい。演奏しているフルートのイルムガツト・トッパー、ギターのウーゴー・ヘルマン・ガイド、共に美しい音色でこの曲の魅力を堪能させてくれる。ブックレットにのっている写真をみるとギターのヘルマン・ガイドは随分こわもてに見えるが、演奏は繊細かつ深い呼吸で文句のない出来栄えだ。
タンゴの歴史・第1曲<bordel1900>の佳境。所々にある左手の拡張箇所は難易度高。8分音符M=180の指定。


この盤を手に入れた十年近く前は、いつかこんな合わせ物をやってみたいなあと思っていたが、数年前にひょんなきっかけからフルート吹きとチェロ弾きのハイアマチュアの方と知遇を得て、この曲も含めて何度か遊んだ。チェロ相方とは、このタンゴの歴史を、またフルート吹きとはジュリアーニやイベールを合わせる機会があった。このところちょっとご無沙汰だが、いずれもまた合わせる機会もあるだろう。そのときのために、時々合わせ物の楽譜を広げてさらっておこう。
Bordel1900 ギター奏者の使用楽器はサイモン・マーティー。
Cafe1930 この曲はチェロがよく合う。 4年前に初めてチェロ相方と合わせときのことを思い出す。
NightClub1960 寺田愛(Fl)、松田弦(Gt)
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