サヴァリッシュの<春>
ここ数年、好んで聴く交響曲に変化がある。モーツァルトよりハイドン、ベートーヴェンよりシューベルト、ブラームスよりシューマン…という感じ。とりわけハイドンとシューマンは他の交響曲を差し置いても聴き続けたいと思うほどだ。新年になってシューマンのライン交響曲をいくつか聴いたが、今夜はその続きでこんな盤を取り出した。

2013年2月22日に亡くなってからやがて5年になるウォルフガンク・サヴァリッシュがシュターツ・カペレ・ドレスデンを振って70年代初頭に録音したシューマンの交響曲集。その中から第1番変ロ長調<春>を取り出した。手持ちの盤は80年初頭にミドルプライスで再発した際の盤。その後、近年ではCD廉価盤でもリリースされている。 このSKDとのシューマンは間違いなく彼の盤歴と代表するものの一つだろうし、この盤でシューマンに開眼した同世代の輩は多いのではないだろうか。
ぼくが初めてサヴァリッシュのシューマンを聴いたのは大学1年とき。第4番ニ短調だった。そのときの感激は今も忘れない。素晴らしく流麗でしなやかな曲の運び。豊かな残響を伴ったドレスデンの響き。貧乏学生下宿の貧弱なオーディオセット(建築用床材で作った後面開放のフルレンジ:ダイヤトーン610、NF回路に手を入れてバスブーストを付けた自作6BM8シングルのアンプ、トリオのチューナー、ワウ・フラッターに悩まされたティアックのカセットデッキ…)から流れる音楽に、これまでに味わったことのない感銘を受けたのを覚えている。
春の訪れを告げるトランペットとホルンで始まる序奏から、まったく間然とするところがない。主部への移行に際してのテンポチェンジは、これまで聴いたことのある演奏の中でも最高にスムースかつエキサイティングなものの一つだ。細かなパッセージが続く主部に入ると、SKDのアンサンブルの見事さが際立つ。美しい響きにピタリとあったピッチ。オーケストラ・サウンドの極み。ときどき響き渡るペーター・ダムのホルン、決め所で轟くゾンダーマンのティンパニー、SKDの全盛期といっていいだろう。
この盤の音源。全4楽章。
指揮者藤岡幸夫と音楽番組の構成・監修を手掛ける新井鷗子による解説付き
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