グッドマンの<悲劇的>
穏やかな日曜日。昼をはさんで野暮用外出。三時を少し回って帰宅した。夕方から北風強まり気温低下。ここ数日続いていた暖かい陽気もきょうまでらしい。あすの関東地方は低気圧の通過に伴い、午後から夕刻にかけて降雪の予報だ。
さて二月も下旬。あすからもまた仕事という晩。今夜も道楽部屋のオーディオセットはオフ。例によって夜半のダイニングテーブルでノートPCに向かながらの音盤タイム。こんな盤を取り出した。


ロイ・グッドマン(1951-)が指揮するハノーヴァーバンドによるシューベルトの交響曲全集。その中から取り出した第4番ハ短調<悲劇的>。十数年前、激安ボックスセットの先駆者ブリリアントレーベルから出たもの。原盤は英国ニンバスレーベル。同コンビによる一連のピリオドスタイルの演奏はこの他にもベートーヴェンやシューマンなどが出ていた記憶がある。激安ボックスの宿命でライナーノーツはまったくなく詳細の情報は不明。録音時期は1988-90年。
ハ短調という調性、そして自身が名付けた「悲劇的」という呼称からして分かるように、ベートーヴェンを多分に意識した作品と言われる。第1楽章の冒頭、2分余に渡って続く序奏はシューベルト19歳のときの作品だということがにわかに信じられないほど意味深長に響く。ソナタ形式のセオリー通りの主部は、のちの「ザ・グレート」を思わせるような経過句も時々顔を出しながら展開していく。適度に長調への転調や推進力のあるリズム音形のためか、「悲劇的」というタイトルほどに悲痛な曲想ではない。第2楽章はシンプルな三部形式で少々物足りなさが残る。ここは先日の記事に書いた2番のように変奏曲を聴きたかった。第3楽章メヌエットは実質スケルツォ。ヘミオラ気味に前のめりになる主題と横へ流れる副主題が対照的で中々聴かせる。終楽章は再びハ短調に戻る。やはり根っからの悲劇性は感じられず、前向きのハ短調だ。展開はやや冗長な感なくもないが、作曲当時19歳という年齢を考えれば、やはり天才的といっていいだろう。最後は長調に転じて明るく大団円となる。
ロイ・グッドマン&ハノーヴァーバンドの演奏は元々英ニンバス社の良質音源。同社倒産の折に廉価盤レーベルの雄、ブリリアント社が買い取ってリリースという、いつものパターン。ピリオドアプローチらしく軽快でスッキリとした解釈。残響多めながらクリアーな録音と併せて、存分にこの曲の持ち味を楽しめる。
この盤の音源で第1楽章。0分15秒で入る1stヴァイオリンの2音目にわずかなピッチの乱れが…
この曲について語るロイ・グッドマン
ルイ・ラングレ(1961-)とパリ管による演奏。
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