モーツァルト K.563


二月半ばの日曜日。朝から野暮用高速ドライブ。昨年末に納車されてから二ヶ月になるVWゴルフでのドライブは快適そのもの。剛性の高い作りによる安定した走りと車格を上回る上質な乗り味。特に高速道では定速走行制御に加え、先行車を一定車間距離で追尾し加減速を自動的に行う制御にも不自然さがない。車線キープの制御も介入度合いが絶妙。総じて運転支援システムとしての出来は、当初の期待を裏切らないもので、よい買い物だったと満足至極のドライブだった。 帰宅後、ひと息ついて二日ぶりの音盤タイム。休日の昼下がりに相応しい、こんな盤を取り出した。


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パスキエトリオによるモーツァルト「弦楽三重奏のためのディベルティメント変ホ長調K.563」。パスキエトリオの名盤として昔から知られるものの一つ。詳細データを確認していないが、60年代初頭のステレオ録音。手持ちの盤は例によって出張の折に梅田の名曲堂阪急東通り店の60年代コーナーで見つけたもの。1965年の日本コロンビア盤で、こうしたものにコスト削減のメスが入る前の時代の分厚い盤質。聴いていてもノンノイズの美しい再生音が楽しめる。

この曲は作品番号からもわかるようにモーツァルト最晩年の作品の一つ。39、40、41のシンフォニーを一気に書き上げた年にこの曲も書かれている。ディベルティメントの定石通り全6楽章構成。両端のアレグロ楽章の間にメヌエットを二つおき、その間にアダージョ、アンダンテの変奏曲をおく構成。
弦楽三重奏という編成は楽器を弾かずにレコードやCDで音楽を聴いて楽しむだけの愛好家にはあまり馴染みの深い編成ではない。しかし、プロアマ問わず弦楽器をたしなむ人にとっては室内楽はその楽しみの多くの部分を占めているし、弦だけの二重奏や三重奏も、練習用課題としても演奏会用ピースとしても重要なものらしい。

この曲はさすがに楽聖モーツァルトの晩年作品だけに、技量、音楽性とも高いレベルが要求される作品と思われる。こうして聴いていると、弦楽四重奏とはまったく違う響きと楽しみを感じる。ヴァイオインが1本少ないことにより響きが薄くなる反面、その透明度は高まり、和声の移ろいやフレーズや曲想の変化はむしろ明瞭に聴く側に訴えてくる。響きのボリュームやダイナミズム以外の要素に対して、より耳を傾けるようになる。耳のダイエットという言葉が適当かどうか分からないけれど、聴く側の耳にも時には一汁三菜の味わいを教えておかないといけない。


全曲。YOUTUBE上で上位の視聴回数を誇る演奏。


スコア付き音源。グリュミオートリオ(Va=ジョルジュ・ヤンチェル、Vc=エヴァ・ツァコ…と思われる)の演奏。



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K.563は

個人的にモーツァルトの室内楽作品の到達点だと思っております。
というか神の仕業。

Re: K.563は

おっしゃる通りだと思います。
機能和声上、4声和音が必要な局面で、例えばルートや5度を省いた3声で違和感なく、つまり聴き手に他の構成音を感じさせるような書き方がなされているわけですね。それをこれだけの規模で、飽きさせずに聴かせるのは並大抵のことではないと思います。
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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