バルバラ・ポラシェック(G)…つづき…



先日の記事に書いたギタリストのバルバラ・ポラシェック。彼女が残したもう一つの録音を新たに手に入れた。


201804_Polasek_Duo.jpg


ちょうど一週間前に記事を書いたあと何気なくポラシェックについてネットをサーチしていたところ、ヤフオクで1枚のアルバムが出ているのを見つけ、手に入れたもの。<ギターのパノラマ>同様、パリ国際ギターコンクールの主宰者だったロベール・J・ヴィタールが監修した<ギターの名手たち>という9枚組のレコード中の1枚。収録曲は以下の通り。ポラシェックのギターソロに加え、夫君ヤン・ポラシェックのチェロとの二重奏が収められている。録音データは記されていないが1965年と思われる。ちなみに高橋功氏によるライナーノーツには使用楽器1965年製ラミレスとある(ジャケット写真はワイスガーバーか)。

 バッハ:リュート組曲第3番
 ヴィヴァルディ:ソナタ ホ短調(Vc=ヤン・ポラシェック)
 ボッケリーニ:ソナタ イ長調(Vc=ヤン・ポラシェック)

この盤のことは以前、隣り町のギター・マンドリン指導者:新井貞夫先生から聞いていた。ぼくがチェロと二重奏にトライするという話をした際、「与太さん、ポラシェックがチェリストの旦那とデュオをやっている盤があるけど聴いてみる?」と教えていただいた。ぼくのずぼらが災いしてその盤を聴かずじまいだったのだが今回、ひょんなことから手に入れることになった。

さてこの盤。A面にはバッハのリュート組曲第3番が収められている。この演奏を当時メニューヒンが聴き、賛辞を寄せたことでも有名になった。先日取り上げた盤でのバッハ同様、録音当時60年代のギターによるバッハ演奏として、普遍的かつ正攻法によるアプローチ。ギターによるバッハ演奏は時に首をかしげたくなる場面で出くわすことがあるが、ポラシェックの演奏にはそうしたところがみられない。メニューヒンが評価するだけのことはある。

そしてこの盤の真骨頂はもう一つ、チェリストの夫ヤン・ポラシェックとのデュオが収められていることだ。今でこそギターとチェロのデュオは珍しくないが、60年代のこの当時、ギターと他の楽器とのアンサンブルはごく限られていた。このポラシェック夫妻による演奏はこの楽器の組み合わせの先駆といっていいだろう。ヴィヴァルディのホ短調のソナタ(チェロソナタ第5番ホ短調 RV40)は以前チェロ相方と演奏予定だったもので、手元に石月一匡氏による楽譜があるが、この盤を知ってから考えると、石月氏はこの盤を耳にしたことで編曲を思い立ったのではないかと想像する。 ボッケリーニは、ここで取り上げられた曲の原曲がチェロソナタのどれなのかは寡聞にして不案内。いずれも夫君ヤン・ポラシェックのチェロは暖かい音色と端正なフレージング、そして音量で差があるギターとのデュオであることも考慮してか、全体的に穏やかな弾きぶりで好感がもてる。

もう音盤は増やすまいと思っていたのだが、たまたまネットでヒットしたこの盤。入札開始価格780円のまま放置されていたこともあり、その金額で応札。誰とも競うことなく落札となった。届いてみれば、帯もジャケットも盤質も半世紀前のものとは信じられないミントコンディション。おそらくどこかの倉庫で眠っていたのだろう。こんなことがあると、気になっていながら縁なしと思ってるいくつかの盤を探してみようかと、またぞろ悪い虫が騒ぎそうだ。


この盤の音源。先回の記事にも貼ったポラシェックによるバッハのリュート組曲第3番。


ギター伴奏によるヴィヴァルディのソナタホ短調(チェロソナタ第5番)の第1楽章。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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