カルリの<魔笛>変奏曲
先日、旧友Y氏が、今まで未見だったフェルディナンド・カルリ(1770-1841)作の<魔笛>の主題による変奏曲の楽譜を見つけたとmixiに書き込んでいた。Y氏はおそらく日本でギター譜に関してもっとも広く深く知っている一人と思うが、その彼をして初めて見たというのだから、ぼくも少々驚いた。


彼が見つけたのはこちらのサイトで(PCビューの画面右側にあるMusical Archive of originals and adaptations with guitar or lute in PDF by A.Nagytothy-TothのGuitar solosをクリック)、原典のファクシミリ版ではなく、リライトされたものがアップされている。多作家であったカルリの作品270(or276?)の中の一つであるようだ。ちょっとさらってみたが、有名なソルの<魔笛>変奏曲と同じ主題を使っている。序奏に続き主題、そして7つの変奏があって最後にコーダが付く。曲そのものは「いつものカルリ」でパッとしないが、よく知られる同じカルリのト長調の<魔笛>変奏曲よりも技巧的にできている。
ぼくらギター弾きにとって<魔笛>の主題による変奏曲というと、真っ先にフェルナンド・ソルの作品を思い出す。プロ・アマと問わず、あるいは弾けようが弾けまいが、必ず手を付ける曲の一つだ。主題に使われているのは第一幕の合唱曲<これはなんと素晴らしい響き>。この曲は単独でもよく演奏されるように、当時から大そうな人気曲であったようだ。以前、旧友Y氏とこの曲の話になって、意外に知られていないのだが、有名なソルの作品以外にも、同時代のカルカッシ、カルリ、ジュリアーニといったギター弾きにはお馴染みの作曲家もこの主題を使って変奏曲を書いているという話になった。確かにソルの作品は立派なホ短調の序奏が付き、軽妙な主題提示以降、各変奏曲もギターの特性を生かしながらも普遍的な古典的様式感と和声感を備えた素晴らしい曲ではあるが、他の曲も、当時の雰囲気を知る意味でもっと弾かれてもいいと感じる。
カルカッシが同じ主題で書いた<イシスの神秘の主題による変奏曲>作品24。<イシスの神秘>は<魔笛>の仏版に付されていたタイトル。立派な序奏付き。
楽譜はこちら ⇒
http://boije.statensmusikverk.se/ebibliotek/boije/pdf/Boije%20624.pdf
ジュリアーニ <魔笛>の主題による変奏曲。
楽譜はこちら(第1曲) ⇒
http://maurogiuliani.free.fr/partitions/Tre%20tema%20favoriti%20con%20Variazioni%20....pdf
カルリ作の以前から馴染みのある ト長調の<魔笛>変奏曲(48のプレリュードと24の作品中の1曲)は、かつて音友社から出ていたギターライブラリーにあった。


主題の原曲<これはなんと素晴らしい響き>第一幕の合唱曲…だったかな。
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