イエペス:ソル24の練習曲
週末は野暮用続きであわただしく終了。 きょう夕方になって少し時間があったので、久々にギターを取り出し、進歩のない練習。ソルの練習曲をさらう。 弾いて良し聴いて良し、ソルのエチュード。ギター弾きにはお馴染みにして必須課題の一つだ。ごく短い曲にも古典的和声感のエッセンスが込められていて飽きることがない。 そして夜の音盤タイムにはこんな盤を取り出した。

ぼくら世代のギター愛好家にとって、60年代終盤から70年代前半はアンドレス・セゴヴィア(1893-1987)、ナルシソ・イエペス(1927-1997)、ジュリアン・ブリーム(1933-)がギター御三家とでもいうべき存在だった。ジョン・ウィリアムス(1941-)やオスカー・ギリア(1938-)が若手と言われた時代だ。そしてそれぞれが極めて個性的で、貧弱なレコードプレイヤーで聴いても針を落とした途端にだれかれと特定できた。中でもイエペスは映画『禁じられた遊び』のテーマでギター愛好家以外にも広く知られた存在だった。ともかくギターといえば『禁じられた遊び』の時代、ギターも持つきっかけ、あるいは目標になった曲の筆頭だった。
この盤にはイエペスがフェルナンド・ソル(1778-1839)の練習曲から独自に選んだ24曲が収められている。1967年9月の録音で、当時やはりソル作曲のセゴヴィア編20の練習曲とよく対比されたものだ。この盤は高校時代に何かのきっかけで手に入れて当時よく聴いた。この盤でのイエペスの演奏は練習曲という性格もあるだろう、総じて生真面目で端整。練習曲といっても様々な意図があって書かれているが、この盤では特に対位法的な処理や、リズムの処理にイエペスの個性が強く出ている。
彼が広めたホセ・ラミレス製10弦ギターによる豊かな響きは特に低音がしっかりと聴こえ、対位法的に書かれた曲では各声部が極めて明瞭かつ必要な重みをもって聴こえてくる。また付点音符や連符によるリズミカルな曲における右手のコントロールは、当時イエペスならではのテクニックだった。1弦でとる旋律をレガートに弾きながら2弦以下の伴奏音形をスタカートで弾いたり(作品35ニ長調)、スタカートの音形をきっちり弾き進めながら5連符を粒立ちよく挿入したり(作品29ヘ長調)、といった具合だ。そうした斬新な弾きっぷりで、当時高校生だったぼくらギター小僧にイエペス=技巧派という印象を植え付けたものだ。
<ギター=禁じられた遊び>の開祖として日本で親しまれ、数多く来日したイエペスだったが、1996年最後の来日の翌年1997年に69歳で亡くなった。そして同時に一時期はアマチュアにも人気のあった10弦ギターも次第に表舞台から消えつつある。
この盤の音源。全24曲。
イエペスのオハコであった難曲バカリッセの<パスピエ>
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