ハウザーモデル比較試奏

 

きょうは旧友Y氏が拙宅へ遊びにきた。ひと月前に一度きて二重奏で遊んだが、きょうはその続き。今月末に予定されているmixi仲間の内輪の演奏会に備えての練習でもあった。曲はパガニーニの協奏ソナタに決めた。元々はヴァイオリンとギターのための曲だが、エリアス・バレイロによるギター2台用の編曲譜を使うことにした。きょうは前回合わせなかった第2楽章も合わせ、2回ほど通した。パガニーニらしい明るく古典的な常套句にあふれたよい曲だ。明解なアーティキュレーションによる古典の様式感と軽快な疾走感を目指して練習をしよう。

<ハウザーモデル左から;西野・廣瀬・土井>         <土井金松作;ケースもハウザー仕様>
ハウザーモデル3本   土井金松作ハウザーモデル

<ウィーンのグッゲンベルガー>
グッゲンベルガー   グッゲンベルガー


さて、そのY氏から借りている楽器2本(1992年廣瀬達彦作ハウザーモデル、1966年作ウィーン・グッゲンベルガー)に加え、週末に関西某楽器店にお願いしていた試奏楽器が届いた。今回届いたのは、岐阜で製作活動をしていた故・土井金松(つちいかねまつ)氏のハウザー2世モデルだ。土井氏は70年代に東京の茶位弦楽器工房で働いていた方で、残念なことに2008年に若くして亡くなった。3代続いているドイツの名工;ハウザー、そのうち特に2世の作品を心酔していて、今回の1992年作の楽器もその路線を目指した楽器だ。図らずもハウザーモデルが2本揃ったので、ぼくの西野春平ハウザーモデルも並べ、ハウザーモデル3本と番外グッゲンベルガーの比較試奏ということになった。

結論からいうと、最もハウザー風で完成度の高い楽器は廣瀬達彦氏のハウザーモデルということになった。廣瀬ハウザーは中高音の透明感や音の伸びを低音がしっかりと支えていて、そのバランスが最もよかった。ウルフトーンはF#辺りにあるものの、それほど突出していない。ローポジション、ハイポジションとも和音の分離もいい。作りもネックのVジョイントやライシェル製糸巻きなど細部にハウザーモデルとしてのこだわりもある。

土井金松氏のハウザーモデルは、3本のハウザーモデルの中で最も透明感と分離のよい音作りだった。高音のサステインも申し分ない。廣瀬ハウザーを一層引き締めた感じの音作りだ。残念だったのは、高音を支える低音がぼくには少々物足りなかった。この楽器の低音はボワ~ンした音ではなく、ビーンと引き締まった筋肉質の低音で、多分音はよく通るし、ステージで聴いていたら十分な低音が聴こえてくるのかもしれないが、弾いている自分の手元では少々辛口な低音として聴こえる。作りは良質な表面板を始め、独自のブリッジなど随所にこだわりを感じさせる。

3本目はぼくが以前から持っていた2007年製西野春平氏のハウザーモデルだ。この楽器については以前も書いた通り、見た目はハウザーのプロポーションそのものだが、音作りはかなり方向性が異なる。他の2本に比べ、明らかに音が太く甘い。低音も高音もよく鳴っていて、どちらかといえば緊張感のある音というよりはゆったりとした響きだ。西野氏自身が雑誌のインタヴューの中で、ハウザーオリジナルというより自分自身はゆったりとした柔らかい音が好きだといった発言としていたことがある。どのポジションでもよく鳴るし工作精度も高い。が、ハウザーというイメージではない。

さて番外として、ウィーン製グッゲンベルガーという楽器も弾いてみた。日本では多分この1本しか入っていないのではないかという珍しいギターだ。ウィーンでは、あのアントン・カラスのチターを作った工房として知られているとのことだ。この楽器はドイツ系の楽器らしいしっかりとして豊かな低音と透明感のあるすっきりとして高音が印象的だ。ウルフトーンはFからF#とかなり低く、かつ量感もあってどっしりとした低音が楽しめる。

こうしてまとめて弾いてみるスペイン系の楽器とは明らかに違う音作りを感じる。一言で言えば、しっかりとした低音をベースにしたヨーロッパの伝統的な古典音楽の再現を目指しているという感じがする。管弦楽しかり、ピアノしかり、ヨーロッパ音楽の音響は低音が命だ。それが小さなギターにも感じられる。ラミレスに代表される現代スペインの楽器とは対照を成すことを、あらためて認識した次第だ。

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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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