カイルベルト<MOZART in Prag>



前線が抜けて爽やかな日曜日。
穏やかな休日の午後に相応しい曲をと思い、こんな盤を取り出した。


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ヨーゼフ・カイルベルト(1908-1968)とバンベルク交響楽団による<プラハのモーツァルト>と題された1枚。この盤のことは、だいぶ以前に例の本で知った。カラヤンと同い年だったカイルベルトが手兵のバンベルク響を振ってモーツァルトと深い縁のあった街プラハにちなんだ曲を演奏している。バンベルクのオケもまたプラハに縁のある楽団。チェコで創設されたプラハ・ドイツ・フィルハーモニー管弦楽団が母体のオケだ。収録曲された曲はモーツァルトの比較的小規模な管弦楽曲であるが、50年代後半にこうした明確なコンセプトアルバムが企画されたこと自体、珍しいことではないかと思う。序曲<劇場支配人>、ディヴェルティメントK.113、4つのオーケストラのためのノクターンK.286、6つのドイツ舞曲K.509、2つのメヌエットK.463、アイネ・クライネ・ナハトムジークK.525といった曲が収められている。

手持ちの盤はキング・レコードのよる60年代初頭の国内初出盤。十数年前に大阪梅田の中古レコード店の60年代盤コーナーで買い求めた。録音は1959年。ぼくらより上の世代にはジャケットのTELEFUNKENの文字が神々しく見えるだろうか。演奏者のカイルベルト&バンベルク響のイメージと共に、優秀で信頼がおける質実剛健の独逸というイメージだ。

演奏はいずれも素晴らしくいい。どこから見ても乱れや余計なものがない楷書の味わい。ポピュラーなアイネ・クライネ・ナハトムジーク K.525を久々に背筋が伸びる思いで聴いた。同じコンビによるブラームスの交響曲が手元にあるが、アンサンブル・録音ともあまりいいイメージがない。しかしこの<プラハのモーツァルト>は別物のように聴き応えがある。カイルベルトの解釈も堅実でありながら小品の味わいを十分に楽しませてくれるし、バンベルク響の音も派手さとは無縁だが、弦楽器群と管楽器群が一体となって充実したアンサンブルを聴かせてくれる。 あらためて、これはいい盤だ。今春3月、生誕110年を記念してカイルベルトのテレフンケン録音がまとまって復刻されたが、オリジナルの構成ではなくなっているのが残念だ。


この盤のLP音源。モーツァルトのセレナード(4つのオーケストラのためのノクターン)K.286。


K.286の第1楽章アンダンテ。この曲は通常の弦楽5部からチェロを除いた弦楽4部に2本のホルンが加わったオケ4組で構成される。といっても同時に4つのオケはバーンと鳴るわけではなく、第1オケのフレーズをなぞるように(エコーのように)他のオケが続く。おそらく野外演奏を想定した、お楽しみ的セレナードだ。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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