トゥリーナ<幻想舞曲>



気付けば五月も末。梅雨入りにはまだ間があるが、気温・湿度とも日毎じわじわと上昇中。それでも夜半は少しひんやりとした空気も感じ、季節の狭間ながら、この時期らしい。そんな初夏の宵に相応しい音楽の一つとして思い浮かぶのは近代スペインの曲かと思い、こんな盤を取り出した。


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ホアキン・トゥリーナ(1882-1949)の<幻想舞曲>。昨年夏に買い求めたアンセルメ・ボックス中の1枚。オケはもちろんスイスロマンド管。Eupopea Traditionセットの25枚目。1960年の録音。
トゥリーナはアルベニス、グラナドス、ファリャなどの近代スペイン作曲家と並んで、ぼくらギター弾きにはお馴染みの作曲家の一人。貴重なギターのためのオリジナル作品をいくつか残している。作風としてはフランス仕込みの色彩的な表現に生地であるアンダルシア地方の土俗的なモチーフとと併せもつ。

<幻想舞曲>作品22は、彼が40歳を前にした頃のもので、管弦楽版とピアノ版とが彼自身の編曲で出版されている。最近はむしろ吹奏楽分野で人気のようだ。曲は3つの部分からなり、「熱狂」「夢想」「狂宴」の副題が付されている。第1曲「熱狂」は冒頭神秘的な雰囲気で始まるが、すぐにホタのリズムで次第に明るさを増していく。華やかではあるが「熱狂」というほどタガが外れている感じはなく、全体には穏やさが支配する。第2曲も「夢想」という副題にしては軽やかで、テンポを速めたバルカローレという雰囲気だ。終曲「狂宴」はファルッカを思わせる力強い曲想。全曲を通じて、明快なリズムと流麗な弦楽群そして色彩的な管楽器群がコントラストを成し、ファリャのバレエ音楽などを好む輩には好適かと。 アンセルメ&OSRは、こうした曲にもっとも相応しいコンビの一つだ。演奏・録音とも文句なしの出来栄えで、初夏の夜の飾るに相応しい。


アンセルメ&OSRによる第3楽章。


ピアノ版の音源。演奏はデ・ラローチャ。


吹奏楽による全3曲。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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