エラ・アンド・ベイシー!



六月も半ば。梅雨入りから二週間。関東地方はこの時期らしい小雨交じりの日が続く。
さて週末金曜日。プレミアムなんとやらはいずこへ…いつも通りに帰宅した。ひと息ついてネットを覗いていると、きょう6月15日はエラ・フィッツジェラルドの命日と出ていた。1917年に生まれ、1996年のきょう79歳で世を去った。その歌声からは想像できない悲しい晩年を思いながら、こんな盤を取り出した。


201806_Ella_Basie.jpg


エラ・フィッツジェラルドがカウント・ベイシー楽団をバックに歌った、その名も<Ella and Basie !>というアルバム。1963年録音。手持ちの盤は90年代初頭に出た国内盤CD。収録曲は以下の通り。お馴染みのスタンダードが並ぶ。

 1. ハニー・サックル・ローズ
 2. ディード・アイ・ドゥ
 3. イントゥ・イーチ・ライフ・サム・レイン・マスト・フォール
 4. ゼム・ゼア・アイズ
 5. ドリーム・ア・リトル・ドリーム・オブ・ミー
 6. 二人でお茶を
 7. サテン・ドール
 8. アイム・ビギニング・トゥ・シー・ザ・ライト
 9. シャイニー・ストッキングス
 10. マイ・ラスト・アフェア
 11. 浮気はやめた
 12. 明るい表通りで

今どき女性ボーカルというと、小編成のコンボバンドをバックに歌うスタイルがまず目に浮かぶが、50~60年代のモダンジャズ全盛期、多くの歌手はダンスバンド専属の歌い手としてそのキャリアを開始するのが一般的だった。エラ・フィッツジェラルドも十代の終わりにハーレムのダンスバンドの歌い手となって以降、数多くの録音を残した。ぼくはそのうちごく僅かの盤しか知らないが、このカウント・ベイシーとの協演は中でも素晴らしい一枚だと感じる。当時40代半ばのエラの声はツヤとハリがあり、アップテンポではキレよく、バラードではしっとり、しかし嫌味にならず、さすがの歌唱を聴かせる。

そんなエラに負けず劣らず素晴らしいのがベイシー楽団のバックだ。名アレンジャー、クインシー・ジョーンズの編曲の妙もあって、単調な歌伴とはひと味もふた味も違う。クインシーのアレンジは、音数はむしろ少ないくらいで、エラの歌唱を邪魔することはなく、要所要所でホーンセクションがキレのいい合の手を決める。全体として、ビッグバンドからイメージするガンガン行くぜ的な雰囲気は微塵もなく、整然としていてうるさくない。節操のない暑苦しいビッグバンドはちょっとという向きにはイチオシのアルバムだ。


<二人でお茶を>


<シャイニー・ストッキングス>


<シャイニー・ストッキングス>はビッグバンドからヴォーカルまで人気のスタンダード。



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ベイシーの場合

ベイシー楽団は優秀なアレンジャーを多く輩出していますが、
クインシー・ジョーンズもその一人です。エラも秀逸ですね。
個人的にはdsが煽る「節操のない暑苦しいビッグバンド」も
TPOによってはクラシックの近現代作品のオケ同様聴いてしまいます。
音中毒ですな(笑)。

Re: ベイシーの場合

おっしゃる通りの、ビッグバンドの魅力ももちろんいいですよね。これからの時期には暑気払いにもなります(^^
同時の、この盤のようなきっちりアレンジされ、計算された設計図による抑制の効いた演奏も、長く繰り返し聴くには必要な要素かなあとも感じます、
プロフィール

マエストロ・与太

Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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