昭和のギター曲集 -2-



きのうの続きで、昭和のギター曲集をひも解く。今夜取り出したのは、こんな一冊。


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京本輔矩編「演奏会用ギター世界名曲全集(下巻)」。かつてギター関係楽譜を多数出していた国際楽譜出版社から1970年に出たもの。600円の価格表示がある。同年1970年の高校一年のとき夏休みのバイトが一日1000円だったから、バイト半日分。今なら3~4000円というレベルか。この曲集にも裏表紙に1971年6月購入と下手な字で書いてある。クラシックギターを弾き始めて数ヶ月した頃で、数IIBの参考書を尻目に、つるしの松岡ギターで夜ごと練習に精出していた頃のものだ。

(下巻)とあるからには(上巻)も出ていたはずだが、どういう理由でこの(下巻)を選んだのか、今となっては分からない。楽譜と言わず何と言わず、この頃の出版物には「世界〇〇〇」と標榜するものが多かった記憶がある。全集…は少々言い過ぎだが、収められている曲もバロック以前から古典、ロマン派まで幅広い。16世紀のバルデラーバノ、ミラネーゼ、ダウランド、カローゾに始まり、17世紀のノイジドラー、コルベッタ、ムートン、ロイスナー、タラール、ラドール、リバヤスと続く。並々ならぬ博識をもつ京本氏ならでは選曲だ。それでも中心は19世紀半ばの古典ギター黄金期の作品で、リョベートやアレナス、プラトなどによる一般クラシックの編曲物もいくつか入っている。きのうの奥田紘正編の曲集に比べると難易度はずっと上がり、当時の自分には過半の曲は手に負えなかったはずだが、いくつか印象の残っている曲がある。アントン・ディアベリのイ短調のフーガでは、フーガというもの自分の出す音で初めて体験し、ぞくぞくしたのを覚えている。メルツのハンガリー幻想曲は同時期にFMで聴き、こんな曲芸のような曲があるのだと知った。最近は耳にしないホセ・ブロカ、アントニオ・カーノなどの曲も入っていて、今となっては珍しい。


アントニオ・カーノ<エル・デリリオ>


ディアベリのフーガ。 バッハのようにはいかないが…


この曲集には<EL Destino>が入っているホセ・ブロカ。ここでは比較的よく弾かれる<Pensamiento Español>を貼っておく。



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Author:マエストロ・与太
ピークを過ぎた中年サラリーマン。真空管アンプで聴く針音混じりの古いアナログ盤、丁寧に淹れた深煎り珈琲、そして自然の恵みの木を材料に、匠の手で作られたギターの暖かい音。以上『お疲れ様三点セット』で仕事の疲れを癒す今日この頃です。

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