シューベルト弦楽四重奏曲ニ短調<死と乙女>
若い頃は手当たり次第、どん欲に音楽を聴いたものだが、馬齢を重ねて昨今は拡大・拡張路線からは遠く、音楽全体からみれば、本当にごく限られた範囲のものしか接しなくなった。もとよりド素人の単なる愛好家であれば、当然の成り行きではあるのだが…。あらためてそんなことを考えながら、ふと思い出して、こんな盤を取り出した。


シューベルトの弦楽四重奏曲ニ短調<死と乙女>。学生時代にはFMからエアチェックした何かの演奏で随分と聴き馴染んだ。そういえば最近とんと聴いていなあと思いつつ、音盤棚を探す。…うん?ない!。この有名なカルテットがないのか。記憶ではスメタナかアマデウスの盤があったように思ったが見当たらない。それでは、こちらはと思って取り出したのは、10年程前に出た10枚組の激安ボックスセット。スイス・イタリア語圏放送局(ルガーノ)の音源から録られたもので、指揮者編・協奏曲編・ピアニスト編・室内楽編の4セットが出た中のもの。その室内楽編に…ありました(^^; スメタナSQの1982年の録音。放送用録音(ライヴ)で、80年代にも関わらずモノラル。但し音そのものは悪くない。どうやら今も現役盤のようだ。50年代から90年代まで中々の顔ぶれが揃っている。
第1楽章の主題が流れてきて、ああこのメロディーだったと、昔の記憶が一気に蘇ってきた。標題からは、まさに乙女チックな夢想的なイメージを抱くのだが、出だしからそんな気配はなく、死神の誘いを拒否する乙女の切迫した叫びが聴こえてくる。第2楽章は標題のもとになった歌曲のピアノ伴奏を元にした変奏曲。ト短調の調性で悲歌が歌われる。第3楽章スケルツォは中間部でニ長調に転じて、全楽章短調づくしの中にあってホッとするフレーズだ。終楽章は急速調のタランテラ。慌しいリズム刻む音形の上を流麗なメロディーが流れる。スメタナSQのこの演奏はライヴ録音らしい緊張感の中、中低音の充実した腰の座った演奏。久々に聴いて、やはり名曲でありました。
この曲にはG・マーラーのによる弦楽合奏版がある。1998年、小澤征爾と水戸室内管によるフィレンツェでのライヴ。以前NHKBSで放送されたもの。雷雨直後で第3楽章途中に停電のハプニングも。
メリディアンアンサンブルSQという若い団体による全曲。
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