昭和のギター曲集 -5-
先日来の続き。昭和のギター曲集。きょう取り出したのはこれ。


「学生のためのスペインギター名曲集」
これもまた今はなき東京音楽書院からの出版。裏表紙には1974年4月と記してある。大学入学と同時に手に入れたことになる。出版されたのはおそらく70年初頭と思われる。冒頭何曲かアルペジオの練習、中声部の練習、三度和音の練習…として、古典派ギターのカルリ・カーノ・コストらの比較的やさしい小品が並んでいる。そのあとが本書の表題になっている近代スペイン物として、タレガの小品に始まり、グラナドス、アルベニスなどお馴染みの編曲物(スペイン舞曲、マジョルカ、グラナダ、カディス、レイエンダ等)が続く。こうしてみるとお馴染みの曲なかりで特徴といえる程のことはない曲集なのだが、実は一つだけ大きなポイントあった。
この本を手に入れた大学入学当時はクラシックギターを始めて3年程経った頃で、ソルの魔笛、タレガのアラビア風は何とか程々に弾け、同時にセゴビア編ソルの20の練習曲などをさらっていた。一方でいわゆるスペイン物にはまったく触手が動かず、アルベニスもグラナドスも手付かずだった。そんな頃にこの曲集を手に取って驚いた。それはロドリゴの<小麦畑にて>が含まれていることだった。もちろん<小麦畑にて>は古くから出版されていたが、当時十代の学生が小遣いで手に入れられる凡百の曲集にはなかった曲だ。それがお手軽なこんな曲集に入っていることに驚き、その一点で手に入れたことを覚えている。この当時の国内版曲集によくあったらしいが、版権の管理など少々怪しかったのではないかと勘繰ってしまう。<小麦畑にて>は4分程の小品ではあるが、スペイン風の雰囲気ながら短調調性により、やや影を感じさせる曲想が素晴らしい。
以来、この曲集を開くときは必ずとその<小麦畑にて>のページを開いてさらってみるのだが、どっこいこの曲見かけからは想像できないほど技術的な難易度が高い。真剣に練習もしていないので当たり前だが、今もってまとも通せないでいる。
<小麦畑にて> 2016年アルハンブラ国際ギターコンクールで優勝したアンドレア・ゴンザレス・カバレロ(1992-)による演奏。使用楽器はパコ・サンチャゴ・マリン。
<小麦畑にて>楽譜付き音源。
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