昭和のギター曲集 -7-
まだまだ続く昭和のギター曲集…。きょうの一冊はこれ。

全音楽譜出版社の小山勝編「演奏会用名曲集:ギターリサイタル」。ネットで調べたところ1971年発行とあった。私が手に入れた時期は記憶が定かでないが、高校時代の終わりか大学に入った頃だから、発売されてから2、3年後ということになる。当時の定価500円。
演奏会用と題されていること、また巻頭序文に「新しいレパートリーを開発すべく、ギター曲として未出版のもの、海外のギタリストによって演奏されていながら楽譜が出版されていないものなどを中心に編んだ」と小山勝氏が書いていることなどからしても、中級者の手習いレベルを超えた演奏会用曲集として編まれ、ギターとリュートの両刀使いであった小山氏らしい選曲がなされている。フランシス・カッティングとミハエル・プレトリウスのリュート曲からのアレンジ、また当時ギタリストにも人気が出始めていたシルビウス・レオポルド・ヴァイスの組曲8番イ長調(例のシャコンヌが入っている組曲)、ヘンデルの組曲14番などが並び、さらに時代が飛んで、ドビュッシーの「月の光」「ゴリヴォーグのケークウォーク」、アルベニスの「マラゲーニャ」「カタロニア奇想曲」が含まれている。また最後には二重奏用にバッハのイギリス組曲第2番のジーグとカンタータ147番の「主よ人の望みの喜びよ」が付されている。総じてアマチュア上級レベルの曲から成る。
この楽譜に強い印象があるものでないが、おそらくヴァイスの組曲が目に留まって買ったのだろう。特に組曲8番(ヴァイスについてはこの当時以降、随分と多くの曲が出版されていった経緯もあるだろうから、この番号を現在どれほどの意味をもつものかは不明)に含まれるシャコンヌ(イ長調)をさらっていた記憶だけははっきりとある。バロック期リュート作品のギター版による演奏は、もちろんオリジナルのリュートによる演奏ほどの豊かさや幽玄な響きには遠いが、好奇心旺盛かつ音楽の歴史や様式もろくろく分かっていなかった当時の若造には十分刺激的で楽しめるものだった記憶がある。
ヴァイスの組曲に含まれるシャコンヌ(イ長調)
カルレス・トレパットが弾くアルベニス「カタロニア奇想曲」 ガット弦を張ったトーレスの音やいかに…
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