モーツァルト 弦楽五重奏曲ト短調 K.516
ことのついでにモーツァルトの短調曲。今夜はこの名曲。


モーツァルトの弦楽五重奏曲第4番ト短調K.516。アマデウス弦楽四重奏団にセシル・アロノヴィックのヴィオラが加わった演奏。1951年のモノラル録音。手持ちの盤は70年代後半に出ていた廉価盤<ウェストミンスター名盤コレクション>の一枚で、はっきりした記憶がないが、発売からそう月日が経っていない、社会人になったかならないかという時期に手に入れた。数年ぶりに針を下ろしたが、40年近く前の盤とは思えない良好な状態で、モノラルながらフレッシュな音が飛び出してきた。アマデウス弦楽四重奏団は同じセシル・アロノヴィックと組んでこの曲を独グラモフォンにステレオで再録音している。
この曲を語るとき必ず引き合いに出されるのは。小林秀雄著「モオツァルト・無常という事」に記された「モオツァルトのかなしさは疾走する」というフレーズだ。若い時分に読んだときは、はなはだ情緒的にわかったような気分になって、感慨にふけったものだが、今となってはその言葉通りに、深読みもせずに、疾走するト短調の音符群だけが浮かんでくる。モーツァルトが残した600曲余のうち短調作品は20に満たない。そのいずれもが古典的様式に枠取りされながらも、深い感情を表出する。
第1楽章。分散和音上昇と半音階下降の印象的な主題に緊張感あふれる。第2楽章にメヌエットを配したややイレギュラーな構成。弱音器を付けた第3楽章は夢見心地のアダージョ。詠嘆的な短調モチーフと、長調に転じて裏打ち伴奏音形にのって奏されるモチーフが対照的だ。第4楽章は悲痛な響きの序奏のあと、流麗かつ軽快なロンドが続く。傑作揃いのモーツァルトの短調作品中、規模、構成とも室内楽の域を超える立派なもの。 夜更けにモノーラルで聴く古典室内楽の趣きいと深し。
この盤と同じメンバーによる映像。
エマーソン四重奏団にヴィオラのキム・カシュカシャンが加わった演奏
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