モーツァルト交響曲第29番イ長調
関東地方は台風接近中。あす朝の通勤時間帯にドンピシャとの情報だ。まだ外の気配は穏やか。夜半前のひととき、久々にこんな盤を取り出した。

オトマール・スウィトナー(1922-2010)とシュターツカペレ・ドレスデンによるモーツァルト。クリーム色のジャケットがオールドファンには懐かしい一枚。70年代半ばにフォンタナレーベルで出ていた廉価盤<グロリア>シリーズ。当時の新潮文庫のカバー色を模したようなジャケットで、レコードの文庫本を目指したのだろうが、正直当時も今も冴えないデザインという印象だ。収録曲は交響曲の29番イ長調と<アイネ・クライネ・ナハト・ムジーク><セレナータ・ノットゥルノ>。今夜は29番に針を下ろした。25番と共に10代後半のモーツァルトが書いた傑作の一つだ。
第1楽章、すぐにモーツァルトと分かる係留音を多用した印象的なフレーズで始まる。穏やかなウィーン趣味を絵に描いたようなといえばいいだろうか、一度聴いたら忘れない主題だ。実際この盤を学生時代に買ったときも、FMで聴き、一度で気に入ってレコード屋に走った。貧乏学生ゆえにグラモフォンのベーム盤には手が出ず、廉価盤のこの盤を「かっこ悪いジャケットだなあ」と思いながらも、スウィトナーとSKDのモーツァルトは最高さと自分に言い聞かせたものだ。
この29番の録音は確か1960年。スウィトナーとSKDとの関係はまだ始まったばかりの時期だろうか。そのせいか、あるいは曲の性格もあって、この盤でのスウィトナー&SKDの演奏は控え目といっていいほど中庸で穏やかだ。テンポもややゆっくり。そしてSKDの響きはしなやかで美しい。いずれもこの29番には相応しい解釈だ。後年、ジェイムス・レヴァインの同じ曲を買い求めたが、せかせかとした曲の運びでがっかりしたことがあった。この盤に関して、このスウィトナー盤がぼくの基準になっている。久しぶりに聴いたが、やはりいい演奏だ。
エテルナ盤のLP音源で第1楽章
ベーム&VPO。1973@ムジークフェライン。一音一音かみ締めるように進む。いかにもベーム。60~70年代のひとつのスタンダード。
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