スウィトナーのシューマン
シューマン交響曲の在庫確認。今夜はこの盤。


オトマール・スウィトナー()指揮シュターツカペレベルリン(SKB)によるシューマン第1交響曲。Blu-SpecCD仕様で2012年にリリースされた日本コロンビア廉価盤シリーズの1枚。第3番とカップリングされ、2番と4番を収めたもう一枚と合せてシューマン交響曲全集を構成している。1986年6月ベルリンイエスキリスト教会での録音。
この演奏はまず、1841年自筆譜による録音として貴重な記録。スウィトナーがこの版にシューマンのオリジナリティを感じ、米ワシントン図書館所蔵の楽譜を使ってこの版による初めての録音を実現させたとライナーノーツに記されている。この演奏の音源をここで披露できないのが残念だが、この曲をよく知っている人にとっては、随所にオッ!と思わせる違いが聴き取れる。まず冒頭のホルンとトランペットによるファンファーレがびっくりしたなあもぉ~で始まる。写真はこのCDのライナーノーツに記されて譜例だが、この盤では通常版よりも三度低い旋律が奏される(譜例1)。通常版(譜例2)は変ロ長調の三度音程(d)が出て、調性が明確に提示されるのだが、この盤の1841年自筆譜版では、調性確定に重要な三度の音が出てこない。変更した理由は譜例1に出てくる3小節目のg-aが、当時の楽器では出しにくかったとからということのようだ。以降も木管と弦の重なり、ヴァイオリン旋律のオクターヴ処理など、あちこちで日頃聴きなれた演奏との違いに気付く。全体としては、通常版がより輝かしくメリハリのある響きを構成しているのに対し、この自筆譜版は落ち着いた響きが特徴だ。
スウィトナーとSKBの演奏は、このコンビによる一連のベートーヴェン、シューベルトなどと同様、弦楽群の響きを中心に木管群を含めたブレンドされたオーケストラサウンドの醍醐味が楽しめる。低弦群の支えも量感、質感とも万全で、方寸のわが道楽部屋にSKDと並ぶ当時の東独トップオケSKBの素晴らしい音が広がる。日本コロンビア技術陣の成果であるデジタル(PCM)録音も特筆物。全体と細部のバランスを勘案しつつ、やや全体優先とし、イエスキリスト教会のナチュラルエコーも存分に取り入れて、この曲の活力と深いロマンティシズムの両面を十全に再現している。
第1番変ロ長調「春」。指揮者をおかないスピラ・ミラビリスというイタリアのオケ。冒頭の練習風景ではこの曲のテーマを全員で歌ってフレーズの成り立ちを確認する様子がみられる。アイコンタクトの回数はのべ3万回くらいあるだろうか(^^; 演奏は8分20秒から。
スウィトナー&SKBによる「春」の音源が見当たらなかったので、代わって第4番ニ短調の演奏を貼っておく。1987年録音。
ラトル&BPO。第1楽章主部に入ったところのダイジェスト。このコンビは2014年、同団の自主レーベル「ベルリン・フィル・レコーディングス」の第一弾としてシューマンの交響曲全曲をリリースした。
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